がん治療で重要なのが病院選びだ。国立がん研究センターが9月26日に公表したがん拠点病院症例数の全国集計は、重いステージのがん患者にとって、最後までケアしてくれる病院かを見定める目安になる。
がんの進行度は最も軽い0期から最も重いIV期まで5つのステージに分類される。
「ステージIVの患者を多く受け入れる病院は、抗がん剤や放射線療法など治療の幅が広い病院で、スタッフも幅広い専門性を有した人材が揃っていると考えられます。治療が難しくても、緩和ケアを行なったり、最期まで看取ってくれる可能性も高い」(医師で医療ジャーナリストの森田豊氏)
ステージIVの胃がん患者の受け入れ数トップは、国立がん研究センター東病院だ。2010年に腹腔鏡下手術(※1)の名医・木下敬弘氏をヘッドハンティングし、胃がん治療を強化している。
【※1:腹腔鏡下手術/腹部に数か所穴を開け、内視鏡の一種である腹腔鏡を1つの穴から入れて内部を見つつ、別の穴から入れた器具でがんの切除、摘出などを行なう手術。これまでの開腹手術と比べて患者への負担が少ない】
「2014年6月には手術支援ロボット『ダ・ヴィンチ』を用いた腹腔鏡下胃切除を導入しました。ステージII以上の進行がんの臨床研究も積極的に行なっています。また、緩和ケア病棟が地域の医療機関と連携しており、患者さんが在宅療養が困難になった場合は速やかに受け入れ対応しているのも大きな特徴です」(国立がん研究センター東病院)