◆自民党は“青組”か“赤組”か
両社の主戦場となるのは、1路線で年間収益100億円ともいわれる羽田空港の国際線だ。
2020年の東京五輪前には、東京都心の低空通過ルートが解禁され、羽田の国際線発着回数は3万9000回(年間)増える予定だ。それを巡って両社の間で配分論争が再燃するのは間違いない。
ANAホールディングスの片野坂真哉・社長は早くも、8月9日の会見で増枠分について「傾斜配分を要望する」と明言し、「(JALとの)競争環境の格差はまだ残っている」と強調。
「争奪戦の行方の鍵を握るのは政治判断。JAL再建当初は、“民主党憎し”も手伝ってANAに肩入れした自民党だが、今の党内には青組(ANA)も赤組(JAL)もいる」(業界関係者)
現在、国交省の政務三役は副大臣と政務官がANA社員出身で“青組”寄りに見える一方、石井啓一・国交相は「競争環境が不適切に歪められている恐れは一歩一歩払拭されている」と述べ、ANA偏重が続くとは限らないことを示唆した。
来年4月以降、両社の“制空権争い”はどんどん熱を帯びていく。
※週刊ポスト2016年10月14・21日号