「病院と鮮明なライブモニターをつないで、現地の医師がカメラを通じて体調の悪い園児の目や口の中を見たり、マイクで拾った呼吸音を聞きます。そして、医師が保育園に常駐する看護師に対応を指示できるようにしています」(澤田園長)
従来の保育園では、子供の体調に異変があれば、すぐ保護者を呼ぶことになっているが、ここでは医師の助言によっては保護者を呼ばず、迎えの時間まで保育園で子供の様子を見守ることもある。
ほかにも昼休みの時間帯に近場で勤務する母親が授乳できる場所を設けるなど、働く母親が助かるサービスばかり。
実際、仕事と育児に励む女性からは、「家事の負担が減り、仕事が遅くなっても子供の面倒を見てくれて医療面も安心。こんな保育園が会社の近くにあったらぜひ利用したい」(30代女性)との声も上がる。
小池知事は待機児童をなくすため、今年度中に保育園の整備に取り組んだ事業者にインセンティブを与えるなど、新たなバックアップ策を打ち出しているが──。保育問題に詳しいジャーナリストの猪熊弘子さんは、こう警鐘を鳴らす。
「日本の場合、事業所内保育園が22時まで開園していると、職場で『その時間まで働いて当然』という雰囲気になりやすい。医療面でも、子供が体調を崩しても親が仕事を休まないのではなく、逆に親が休める仕組みが必要です。就労支援は保育園の大きな役割ですが、“親を働かせる”ための施設ではダメ。今後、どこまで“子供のため”の保育園を拡大できるかがカギです」
※女性セブン2016年10月27日号