ライフ

ヤブ医者は自分のミスを言い訳したり周囲のせいにしがち

脳外科の名医として知られる中込忠好氏

 患者にとって執刀医とは命を預ける存在である。できるなら“神の手”を持つ「名医」に任せたいが、残念ながらそうした医師はとにかく数が少ない。そもそもなぜ手術の上手い医師と下手な医師の差が生まれるのか。

 名執刀医の条件に、「手先の器用さ」や手術の際の「画像認識能力」、そして医師全般については、患者の立場に立つ「人間性」などを挙げる医師は多いが、求められる素質は診療科によっても異なる。

「脳外科医には器用さよりも慎重さが求められる」と語るのは、脳外科の名医、帝京大学医学部脳神経外科客員教授の中込忠好氏だ。

「石橋を叩いて渡るよりもさらに慎重に行なうこと。他の外科医に要求される大胆さや思い切りの良さでは、うまくいきません」(中込氏)

 もちろん脳外科医としての専門知識をしっかり身につけていることと、探究心も不可欠な要素だ。

「常に学び続ける姿勢こそ、名医の最大の条件です。脳外科手術では、まず解剖学をしっかり学び、脳の構造を頭にたたき込むことが大前提。次に他の医師の手術をできるだけ多く、しっかりと見ること。僕もたくさんの医師の手術を見に行きました。先輩にあたる福島孝徳医師の手術を見るために米国ピッツバーグに1週間ほど滞在したこともあります。

 そして3番目に大切なのは、失敗に学ぶこと。手術をしていると、自分の理想とは違うことが出てくる。そのたびにどこがいけなかったのかを常に振り返り、完璧を目指して修業するのです」(中込氏)

 中込氏は今も手術直前まで勉強しているという。

「前夜まで資料を読み、手術の手順などを反芻し、手術のVTRを見たり、自分が過去に行なった同じ手術を思い出して確認する。それほど執刀する医師の責任は重いのです」(中込氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン