「確かに外の人から見れば、自分たちの頑張りが足りなかったから、予選通過ができなかったと。それは否定できません。自分たちの頑張りが足りなかったからこそ、こうやってあと1つのところで、(本戦出場を)逃してしまったと、自分たちでもわかっています」

 もはや、舟津に涙はない。

「走る姿を見て頂いた通り、本当に変わってきたと思います。自分が1年生主将で、本当に悔しく思った先輩もいると思います。でもこうやってついてきてくれて、全員で走れたということは、これから自分の人生や先輩の人生にとっても大事になってきます。逆にここでの敗北を忘れてしまうと、人間としても、選手としても、成長できません。自分たちは、この日のことを忘れるわけには行きません! 忘れるつもりもありません!」

 一瞬の沈黙。

「これからまた、新しい時代が始まりますが、ぜひ、変わらぬ応援をよろしくお願い致します」

 舟津が話し終わると万雷の拍手に包まれた。“不甲斐ない”というOBたちの空気は“来年が楽しみだ”に変わっていた。

 企業に置き換えれば大正時代から続く老舗企業の業績不振会見という炎上必至の状況で、逆風を追い風に変えてみせたようなものだ。

■PROFILE/西本武司:1971年福岡県生まれ。メタボ対策のランニング中に近所を走る箱根ランナーに衝撃を受け、箱根駅伝にハマる。そのうちに、同じような箱根中毒の人々とウェブメディア「駅伝ニュース」を立ち上げる。本業はコンテンツプロデューサー。ツイッターアカウント名は「公園橋博士」、相棒は「マニアさん」(アカウント名「EKIDEN_MANIA」)

撮影■EKIDEN NEWS

※週刊ポスト2016年11月4日号

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン