◆「自分に全てぶつけてください!」
そうして力を尽くした舟津が予選会敗退後、OBたちを前に話した「魂の挨拶」を全言掲載したい。上級生たちはうつむき、ハチマキがトレードマークの4年エース町澤大雅が「すいませんでした」と叫ぶ。絶望感が漂う空気の中、舟津はマイクを取ることもなく話し始めた。
「最初に、多くの応援をいただき、本当にありがとうございました! 多くの沿道の声援が選手の力となり、予選通過とまではいきませんでしたが、しっかりと変わった姿を見せられたと思います。
自分が主将になって、先輩方に迷惑をかけながら3か月間、しっかりやってきました。先輩方も自分をサポートして下さいました。試合を見て頂いてもわかる通り、中央大学が『前に出てレースを作る走り』、『しっかりと貪欲にタイムを狙っていく走り』、見て頂いたと思います。11位という、あと一歩の順位で本当に申し訳ありませんでした!」
普通ならここで終わりだが、舟津は違う。
「この夏、多くの課題を持ってやってきました。外部から、心ない声や、“本当に今年大丈夫なのか”と多くの声を頂きました」
一瞬だけ顔を歪めた後、舟津はトーンを上げた。
「でも自分たちは“やれる”と思いながら、今までやってきました。それに対しては誰も文句は言えません!」
取り巻くOBたちから目を逸らさない。
「もし、先輩方に文句を言うような人がいれば、自分が受けて立ちます。自分に全てぶつけてください! 先輩に心ない声や、そんなことを言うような人がいれば、自分は許しません!」
深呼吸をひとつする。