また、日常生活で「エレベーターを使わずに階段を昇り降りする」という“準運動”を実践している人も少なくない。だが、『ラジオ体操は65歳以上には向かない』の著者で、戸田リウマチ科クリニックの戸田佳孝・医師はこう語る。
「運動量の割に効果がない、無駄な運動の代表格です。当院の患者さんにも“地下鉄では階段を使います”と言う方がいますが、私は“やめなさい”とアドバイスしています。
段差の昇降で最も負担がかかるのは膝の半月板や靱帯です。筋肉は鍛えることができますが、半月板も靱帯も消耗品なので、負荷をかけても鍛えられない。それなら平地を早歩きしたほうがましです。
電車やバスでは椅子に座らないという方もいますが、やはり消耗部位である軟骨部分に無用な負担をかけています。バランスを保つ筋力を鍛えるメリットは否定しませんが、デメリットのほうが多い。空いていたらなるべく座るようにしたほうがいいでしょう」
※週刊ポスト2016年11月18日号