電話を受けた旬報法律事務所(東京・千代田区)の大久保修一弁護士が話す。
「相談件数のおよそ半数が長時間労働や残業代の未払いに関するものでした。月120時間を超える残業時間で毎晩タクシー帰りを余儀なくされている人や、タイムカードを一旦定時で押せと指示され、その後延々と働かされているといった悪質なケースもありました。
こうした人たちは精神的にも肉体的にもボロボロになっているにもかかわらず、会社に訴えればクビになって転職もままならない、と泣き寝入りせざるを得ない状況を続けています。
しかし、極度の過労によってうつ病になったり、体を壊して休職に追い込まれたりしたら、それこそ人生が狂ってしまいます。我慢せずに行き過ぎた勤務実態を記録に残し、労働監督署やわれわれのような弁護士に相談してほしいと思います」
安倍政権はしきりに「働き方改革」を掲げ、仕事の内容に応じて労働時間に柔軟性を持たせる案も検討しているが、それらが本当に働き過ぎの是正につながるのかは不透明だ。
折しも毎年11月は「過労死等防止啓発月間」に定められ、各地で過労死防止のためのシンポジウムなどが開かれている。今こそ労働現場の実態に即した制度が必要だろう。