ビジネス

大戸屋 「定食が高すぎる」「庶民感覚なくなった」の声

「創業精神を継承する」と話す窪田健一社長だが……

〈「かぁさんの手作り料理をお値打ち価格でお客様に」を“愛”言葉に……〉。これは定食屋チェーン「大戸屋」の各店舗に掲げてある書の言葉だ。昨年7月に急逝した創業者、三森久実氏(当時会長)が“かぁさん額”と称して守り続けてきた創業精神だが、いま、この原点が揺らぎつつある。

 大戸屋の迷走は、久実氏亡き後に勃発した「創業家VS経営陣」の激しい内紛がきっかけとなった。

 久実氏の功労金支払いに関する「カネ」の問題や、息子・智仁氏の「世襲人事」をめぐり双方の対立が深刻化。10月に弁護士らで結成した第三者委員会が公表した調査報告書の中には、現社長の窪田健一氏と智仁氏が都内の焼き鳥店で口論になったことや、久実氏の妻・三枝子氏が抗議のために久実氏の遺骨と遺影を持って社長室に乗り込んだことなどが生々しく報告されている。

 そんな身内のゴタゴタも影響してか、大戸屋は事が表面化した今年の5月以降、既存店売上高は5か月連続でマイナスを続けている。

 窪田社長は11月9日に開いた事業戦略発表会で、「創業家(との対立)の影響はまったくない」と否定したが、やはり一連の騒動が現場の士気を下げ、消費者のイメージダウンに繋がった可能性もある。

 フードアナリストの重盛高雄氏がいう。

「大戸屋クラスの規模になれば、もう“個人商店”の意識は通用しない。多くの従業員やFC加盟店のオーナー、そして顧客の信頼や安心感を損なえば店から人は離れていきます。お家騒動のこれ以上の長期化は企業イメージを落とす一方なので、早くスマートな解決法を探るべきだと思います」

 窪田社長は汚名返上とばかりに3年間の中期経営計画をぶち上げ、赤字店舗のテコ入れや大戸屋ブランドの再確立、新規海外進出や宅配サービスなどの施策を矢継ぎ早に実行し、現在ある国内外436店舗を700店まで拡大させたいと意気込む。

「大戸屋は一品一品お店で手作りする店内調理のオペレーションを貫き、価格に見合う味で愚直に勝負していくだけ」

 窪田社長はこう話し、“ちゃんと、おいしい定食屋”の追求を誓う。だが、肝心の商品・価格戦略ではブレも生じている。

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン