国内

市販風邪薬の副作用による死亡例は5年で8件 正しいのみ方

副作用が起きるケースもある市販の風邪薬

 いよいよ風邪のシーズンがやってくる。平年より厳しい寒さが予想される今年は、喉の症状から始まる風邪が大流行する兆しがあるという。

 この時期、喉の痛みや鼻水、咳などの症状が出たら、ともあれ風邪薬をのむという人は多いだろう。しかし、薬剤師で国際感食協会理事長の宇多川久美子さんは、「そういう考えはあまりにも安易すぎます」と指摘する。

「まず知らないといけないのは、どんな薬にも副作用のリスクがあるということ。消費者庁の発表によると、2009年から2013年の5年間で報告された市販薬の副作用は1225件。うち死亡例が15件あり、8件が風邪薬によるものです。“市販の風邪薬ならきっと大丈夫だろう”という考えは間違いで、副作用は誰にでも起こりえます」

 湿疹や胃の痛みなどの副作用を引き起こした市販薬のうち、最も多いのが総合感冒薬(風邪薬)の400件で、うち死亡例が8件あった。発熱や痛みを緩和する解熱鎮痛消炎剤でも279件の副作用があり、うち死亡例が3件報告されている。

 2014年にインターネットでの一般医薬品販売が解禁され、誰でも簡単に風邪薬を買えるようになったが、副作用のリスクはあまり知られていない。

「いたずらに怖がる必要はありませんが、薬は化学合成した異物です。人数は少ないとはいえ風邪薬で命を落としたり、生活に支障が出るほどの後遺症が残る人もいるので、“のみ方”には充分注意すべきです」(宇多川さん)

 風邪っぽいと感じたら安静にすることが最善なのは承知の上だが、思うように仕事や家事を休めない現代人にとって、薬は頼みの綱でもある。だから知りたい。風邪薬のむべきか、のまないべきか――?

◆どんなときにどんな薬を選ぶべきか

 実は風邪薬は風邪を治す薬ではない。風邪の原因のほとんどはウイルス感染であり、風邪をもたらすウイルスに効く薬はいまもってないからだ。

 薬剤師で岩手医科大学薬学部非常勤講師の武政文彦さんは、「それでも風邪をひいたら早めに風邪薬をのむべきです」と主張する。

「風邪薬をのむ目的は風邪の症状を改善して体を健康な状態に近づけること。咳や頭痛、鼻水などがつらい状態ではゆっくりと眠れません。風邪薬はつらい症状を和らげて、人間が自然に治っていくことをサポートするんです」

 たとえば風邪をひいて咳をすると、体力を使うし器官を傷つける恐れがある。そんな時、薬で咳を抑えてぐっすり眠り、免疫力や体力を回復することは風邪退治に有効だ。

 しかし、そのためには、薬の正しいのみ方を知る必要がある。冒頭で宇多川さんが指摘したように、薬は時に“毒”になるからだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン