スポーツ

川淵三郎氏 バスケ協会から報酬0で持ち出し100万円以上

熱き情熱がプロバスケリーグ誕生を導いた(川淵三郎氏)

 日本のバスケットボール界は、長らく混迷の時代が続いていた。実業団が中心だったNBLと、地域主体のプロリーグとして発足したbjリーグが存在し、両者の軋轢は深まるばかりで、国際バスケット連盟(FIBA)から五輪予選への出場権まで剥奪された。

 ここで白羽の矢が立ったのが川淵三郎だ。結論からいえば未曾有の混迷を半年で解決し、今年9月のBリーグ開幕に結びつけた。この難事業を切り抜けた、川淵氏いわく「独裁力」の真髄にノンフィクションライター・中村計氏が迫る。

 * * *
 この男の自分を突き動かす動力源は、いつだって怒りだ。

「大事なのは、怒り方と、怒るタイミング。怒っても人がついてこなかったり、何も変わらなかったら、それはその人に実力がないということ」

 今では理想のリーダーとも評される川淵だが、日本のトップ企業だった古河電工に勤めていた頃、51歳のときに子会社への出向を命じられるという憂き目に遭っている。

「ひと言で言えば、上司と反りが合わなかった。上司とも思わないような言い方もしてたからね。周りから見たら、どっちが偉いかわからないって。クソ生意気なやつだって思われてたんじゃないかな。サラリーマンタイプじゃなかったんだよ」

 今だからこそ笑って振り返るが、人生最大の挫折でもあった。川淵は会社を辞し、日本サッカーリーグの総務主事となって「残りの人生をサッカーに賭けよう」と誓った。川淵の前のめりな生き方は、この時、定まったのかもしれない。

 老舗企業には扱いかねた元来持つ川淵の突っ張った部分が、転換期にあったサッカー界には有益に働いた。しかし、薬になるものは常に毒にもなり得る危険性をはらんでいる。

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
若隆景
序盤2敗の若隆景「大関獲り」のハードルはどこまで下がる? 協会に影響力残す琴風氏が「私は31勝で上がった」とコメントする理由 ロンドン公演を控え“唯一の希望”に
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン