──独裁的な統治法は必ずといっていいほど腐敗につながり、年を重ねた権力者を「老害」という言葉で表現するようになりますよね。
「マスコミはすぐ老害って言いたがるからな(笑)。でも、いいこともあるんだよ。若い頃は私利私欲があってこそ、成長できる部分もある。でも僕ぐらいの年になるとね、そういう部分はものすごく減ってくる」
──そんなの綺麗ごとだろという声も聞こえてきそうですが。
「まったくないわけじゃないけど、他の人よりは明らかに少ないよ。僕ほどバスケットボール界のために働いてるやつはいないだろ。そう自信を持って言えるから独裁と批判されても、びくともしなかった。最初の頃、バスケット界の人はサッカー協会に乗っ取られるって思ったらしいけど、乗っ取るような価値のある協会かよって。バカ抜かすんじゃないっていう話だよね」
川淵は無報酬でバスケットボール界のために一肌脱いだのだという。念のため、聞いてみた。
──本当に本当に報酬ゼロですか?
「バスケットボール協会から2000万も給料もらってるってどっかに書いてあったけど、1円たりとももらってない。逆に、会議の際の車代、まわりのスタッフや来日した外国の要人との会食とかで百万円以上持ち出してるぐらいだから」
■聞き手/中村計(ノンフィクションライター)
※SAPIO2016年12月号