◆糖尿病の権威が自ら執筆
高齢化社会を迎え、糖尿病患者にもシニアが増えたことから2014年12月には「高齢者糖尿病」を特集している。認知症や骨粗鬆症からがん、果ては歯周病に至るまで、糖尿病との相関関係と対処法を順序立てて記述している。医療に詳しいジャーナリストの村上和巳氏がいう。
「『近年になり糖尿病が認知症発症の原因になりうることが明らかになった』とこの号で報じました。日々無数の、しかも英語で書かれた論文の全てを読むのは現実的に不可能。そんな中でこの記事に出会ったときには思わず膝を打ちました」
同誌の功績はほかにもある。2016年10月号では〈進化する糖尿病治療!〉という特集で、新薬の「DPP─4阻害薬」などについての記事を掲載。通常、糖尿病治療薬は毎日服用しなければならないが、これは週に一度の服用で効果があるとして、注目を集めている。
「糖尿病の新薬は多いが、どういう症状の患者に、どの薬が合うのか判断は難しい。でも、この雑誌には臨床試験から関わった学会の権威が書いてくれているので参考になる」(同前)
最先端の治療法や医学事情だけではない。同誌は糖尿病が発症する原因にも踏み込んでいく。
肥満は糖尿病の大きな危険因子である。そこで、肥満を防ぐための手段として、胃を切除したり、小腸をバイパスして消化吸収を抑制したりする「肥満手術」という選択肢があることを紹介(2016年10月号)しているが、肥満に関する情報も豊富すぎて糖尿病専門誌であることを忘れてしまうほどだ。