ライフ

完売続出の医学雑誌 『月刊糖尿病』を読んだらスゴかった

『月刊糖尿病』の村越勝弘氏・編集発行人

 出版不況が叫ばれるなか、「完売」続出の人気医学雑誌があるという。数ある疾患の中でも「糖尿病」だけに特化した、その名も『月刊糖尿病』だ。

 2009年創刊の同誌は、糖尿病医療の最先端を分かりやすく紹介するだけでなく、独創性豊かな特集で読者を惹きつけている。

〈我が国において記録に残る糖尿病認定第1号患者は藤原道長と考えられている〉

 これは『月刊糖尿病』の2015年9月号の〈日本の食生活の変遷と糖尿病〉と題する記事の書き出しだ。読み進めると、当時の権力者だった藤原道長の食生活が庶民とは違っていた可能性に言及している。

 また平安時代から終戦直後まで日本人の脂肪摂取量はエネルギー比の10%程度だったが、昭和30~40年代に食生活が変化して大きく上昇。それとともに糖尿病患者数も急増していく様子が表やグラフを駆使して解説されている。現代日本人の糖尿病を食生活から紐解くために、はるか1000年前の平安時代まで遡る探求心には脱帽するほかない。

『月刊糖尿病』(医学出版刊)は毎月20日発売、定価は2700円だ。最新号の2016年11月号では「糖尿病・うつ・睡眠障害による負のトライアングル」と銘打ち、〈血糖コントロールと睡眠障害との関係〉〈睡眠障害が糖代謝に与える影響とそのメカニズム〉などの特集が組まれている。

 堅いタイトルが並ぶなかに「むずむず脚症候群」という病名が目に付く。糖尿病の合併症の一つで、睡眠障害を引き起こすほど足がかゆくなるのだとか。『月刊糖尿病』の愛読者で、糖尿病専門医の泰江慎太郎氏が評する。

「糖尿病に関する情報を毎月特集する雑誌は他にないので重宝しています。特に、引用文献の出典やエビデンスをきちんと明記している点で信頼が置けます。糖尿病の専門家のみならず、すべての医療関係者に読んでもらいたい雑誌ですね」

 医学界からこれほどまで高く評価される同誌は、どのようにして作られているのか。版元の医学出版代表で同誌の編集発行人を務める村越勝弘氏に聞いた。

「おかげさまで多くの号が完売しています。社員の編集者は私を含めて4人で、専門的な部分の編集は大学で教鞭を揮う現役医師のみなさんにお願いしています。部数は非公表ですが増刷した号もあり、医学系専門誌として業界ナンバーワンを自負しています」

 たしかに、同誌の編集主幹や編集委員に名を連ねるのはいずれも日本糖尿病学会の理事を務めるなど日本の権威ばかり。同誌のターゲットは誰なのか。

「基本的には糖尿病専門医に向けて作っていますが、日進月歩で研究が進む糖尿病治療の最先端を知っておきたいという内科のドクターや、専門知識を得たいという看護師にも読んでいただいています。糖尿病患者など医学従事者でなくても読んでいただけるよう努めています」(村越氏)

関連記事

トピックス

広末涼子(時事通信フォト)
《時速180キロで暴走…》広末涼子の“2026年版カレンダー”は実現するのか “気が引けて”一度は制作を断念 最近はグループチャットに頻繁に“降臨”も
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの墓を参拝された天皇皇后両陛下(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《すっごいステキの声も》皇后雅子さま、哀悼のお気持ちがうかがえるお墓参りコーデ 漆黒の宝石「ジェット」でシックに
NEWSポストセブン
前橋市長選挙への立候補を表明する小川晶前市長(時事通信フォト)
〈支援者からのアツい期待に応えるために…〉“ラブホ通い詰め”小川晶氏の前橋市長返り咲きへの“ストーリーづくり”、小川氏が直撃に見せた“印象的な一瞬の表情”
NEWSポストセブン
熱愛が報じられた新木優子と元Hey!Say!JUMPメンバーの中島裕翔
《20歳年上女優との交際中に…》中島裕翔、新木優子との共演直後に“肉食7連泊愛”の過去 その後に変化していた恋愛観
NEWSポストセブン
金を稼ぎたい、モテたい、強くなりたい…“関節技の鬼” 藤原組長が語る「個性を磨いた新日本道場の凄み」《長州力が不器用さを個性に変えられたワケ》
金を稼ぎたい、モテたい、強くなりたい…“関節技の鬼” 藤原組長が語る「個性を磨いた新日本道場の凄み」《長州力が不器用さを個性に変えられたワケ》
NEWSポストセブン
記者会見に臨んだ国分太一(時事通信フォト)
《長期間のビジネスホテル生活》国分太一の“孤独な戦い”を支えていた「妻との通話」「コンビニ徒歩30秒」
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(EPA=時事)
《“勝者と寝る”過激ゲームか》カメラ数台、USBメモリ、ジェルも押収…金髪美女インフルエンサー(26)が“性的コンテンツ制作”で逮捕されなかった背景【バリ島から国外追放】
NEWSポストセブン
「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《独占スクープ》敏腕プロデューサー・SKY-HIが「未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し」、本人は「軽率で誤解を招く行動」と回答【NHK紅白歌合戦に出場予定の所属グループも】
週刊ポスト
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン