芸能

松平健 勝新太郎の教えは「一つの役を五人で演じろ」

駆け出し時代の思い出を語る松平健

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、松平健が、駆け出しのころに勝新太郎の付き人をしていた当時の思い出を語った言葉からお届けする。

 * * *
 松平健は高校卒業を待たずに上京、劇団員を経て、1974年に時代劇スター・勝新太郎の付き人になる。当時の勝は自ら「勝プロダクション」を設立し、フジテレビで『座頭市物語』を製作する一方、芸能マネジメント業もしていた。

「映画の世界には憧れがありました。特に日活のアクション映画が好きでしたから、石原裕次郎さんのようになりたかった。

 それで、裕次郎さんの家を訪ねたんです。落語家になりたい人が師匠の門を叩くことの真似といいますか。でも、弟子入りは叶いませんでした。それで、ある劇団の養成所のオーディションを受けて合格しました。

 そこで人前で演じる楽しさを知りました。笑ってくれたりする、お客様の反応が面白くて。劇団を通じて時代劇のエキストラに出演するようになりましたが、アクションものに憧れていましたから、いつかはそっちに出たいと思っていたんです。

 時代劇の所作はその時に身につけています。劇団が若駒という殺陣のグループと関係があったので、殺陣を教えにきてくれていましたし、その時に『馬も覚えた方がいい』と言われて乗馬クラブにも通いました。日本舞踊も稽古の中にありましたね。

 劇団では年に二回自主公演があり、その脚本を『座頭市』を書かれた直居欽哉先生が書かれていた。主役を僕がやることになったんですが、そこで直居先生が勝プロのプロデューサーを連れてこられたんですよ。それで舞台が終わった時に『勝に会ってみないか』と言われまして。びっくりすると同時に嬉しかった。『今度はプロの世界で仕事をいただける』と思いましたから」

『座頭市物語』は大映京都撮影所で撮影していた。松平はそこで勝の仕事を間近に見て勉強することになる。当時の勝は役者だけでなく監督もしていた。

関連記事

トピックス

フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン