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ロシアの日本接近 真の狙いは日米同盟への揺さぶり

北方領土交渉によって日米同盟に異変も

 北方領土交渉に深くかかわった作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は、ロシア外交の周到さを最も知る人物だ。北方領土交渉が進展を見せつつある今、あえて安倍政権に警鐘を鳴らした。

 * * *
 日本では、経済協力をすれば、ロシアは北方領土問題で譲歩すると考える人々がいるが、その認識は甘い。もちろんプーチン大統領は、シベリア、極東の開発を中心にロシアとの経済協力に日本が参加することを望んでいる。

 しかし、ビジネスはあくまでも利益が上がるか否かというリアリズムで見ているので、政府が音頭をとったからといって民間企業が本格的にロシアへの投資を増やすというような幻想はもっていない。

 むしろプーチン大統領の関心は、アジア太平洋地域の安全保障環境を変化させることだと筆者は見ている。

 日米安保条約の5条前段では、〈各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。〉と明記されている。平たく言い換えると、日本の施政が及ぶすべての領域で米軍が活動できることになっている。

 日ソ共同宣言に基づく交渉で歯舞群島と色丹島の返還が実現した場合、この2島は日本の施政が及ぶようになる。当然、歯舞群島、色丹島においても米軍が活動できるようになる。

 現在の米露関係の緊張を考えると、米軍の活動が歯舞群島と色丹島に及ばないことをプーチン大統領は引き渡しの条件にすると思う。日本がこの条件を呑めば、日米安保条約の適用除外地域が生じることになる。筆者は、安倍政権がこのような選択をする可能性は十分あると見ている。前原氏との質疑応答では、こんなやりとりもあった。

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