加齢とともに病気に悩まされるイメージが強いが、年を取ることによって、その症状が軽くなる病気も存在する。
75歳男性のAさんは42歳のときに痛風を発症。食事指導を受け、尿酸降下薬を飲み続けるなど、30年以上悩まされてきた。命に関わる病気ではないものの、発作が出れば、足の親指の付け根がパンパンに腫れ、歩くどころか靴を履くのも困難になるほどの激痛が襲ってくる。
「発作が起きるのが怖くて、プリン体が多いビールや刺身も我慢してきました。でも、70歳を過ぎたころからは多少の暴飲暴食をしても、発作どころか尿酸値がほとんど上らなくなって薬も飲まなくてよくなった」(Aさん)
痛風外来を設置する両国東口クリニック理事長の大山博司医師が解説する。
「痛風の原因である高尿酸血症は7~8割が体質的な影響によるもので、一生涯治療が必要であるという見方が一般的です。ただ、痛風患者は30~60歳の人が圧倒的に多く、70代に入ると少なくなります。
この理由は尿酸産生量の減少にあります。20~40歳に増加した尿酸産生量が60歳を過ぎると減り始め、高尿酸血症の頻度が下がることが報告されています。同時に、高齢になると免疫機能の低下もあって、痛風発作自体を起こしにくくなるのです」
年を取れば身体中に痛みを抱え、患う病気も増えていくばかりだと思われがちだが、Aさんのように年を重ねることで症状が和らいだり、楽になる病気は少なくない。
※週刊ポスト2016年12月9日号