スポーツ

フィギュアスケートのアニメ 現実と張り合う人気の裏側

男子フィギュアスケート・アニメ「ユーリ!!! on ICE」が人気!

 いまフィギュアスケートは、アニメも熱い! 男子フィギュアスケート・アニメ「ユーリ!!! on ICE(ユーリ・オン・アイス)」のテレビ放送および動画配信が始まり、アニメの中でもグランプリシリーズが開幕、ファイナルを控え選手たちがしのぎを削っているのだ。「久保ミツロウ×山本沙代=原案、山本沙代=監督、アニメーション制作=MAPPA」という豪華布陣がおくるこのアニメは、日本のみならず、世界のフィギュアスケートファンやアニメファンを虜にしている。Blu-ray&DVDの発売が決定し、さらに盛り上がりを見せそうな「ユーリ!!! on ICE」。誕生の経緯や制作秘話を、プロデューサーを務めるMAPPA代表・大塚学氏に伺った。

* * *
■フィギュアスケートができるんじゃないか、というほど動きを理解しています

──「ユーリ!!! on ICE」のテレビ放送(テレビ朝日他)は第10滑走(第10話)を迎え、主人公の勝生勇利(かつき・ゆうり)が、グランプリシリーズに臨んでいます。制作はいかがでしょうか?

大塚:このアニメは本当に特殊で難易度が高く、試行錯誤しながら今も作っています。何が難しいかというと、第一にフィギュアスケートを絵で描くのが未経験であること、第二にそれをテレビシリーズのスケジュールでやっていくということ、です。技術的な効率を模索しながら、圧倒的な物量に立ち向かわなければならないのです。

 まずフィギュアスケートは、動きで評価されるスポーツですから、実際の動きをできるだけ忠実に再現しなければいけません。ルッツジャンプのときは、アウトエッジにのって跳ぶとか、着地の仕方はこうだよ、フリーレッグはこうなっているよとか。そこは山本監督も久保さんも、情熱をもってしっかりと表現をしたいと言っているところなので、絵を描くアニメーターも研究を重ねました。中心になって描いているアニメーターたちは、もはやフィギュアスケートができるんじゃないか、というほど動きを理解しています。もちろん、体がついていくことはないので実際には無理ですが(笑)。ずっと机で作業してますからね。

──勇利をはじめとする各選手が競技で使用している曲も振付もオリジナル。数々の有名選手の振付で知られる宮本賢二さんが振付を監修され、DEAN FUJIOKAさんがオープニングテーマを担当されるなど、このアニメは本格的かつ豪華です。

大塚:こだわりが細部にわたるぶん、普通のアニメ作品の3倍くらい大変です。もともとは、山本監督と久保さんとの間で、構想されていた企画でした。お二人とも筋金入りのフィギュアスケートファンですから(笑)。一方、僕は、冬になるとテレビを見て「真央ちゃん頑張れ!」というレベルでしたが、山本監督からユーリのお話をいただいた時、その情熱と久保さんの素敵なビジュアルに引き寄せられる形で、制作をお引き受けしたんです。

──山本監督と久保さん、制作会社であるMAPPAさんの役割分担はどのようになっていますか?

大塚:ストーリーは監督と久保さん二人の共同作業です。MAPPAは進行を含めた管理を行いながら、絵を作る作業をしています。二人のイメージを形にするために、僕らは必死にくらいついているという感じですね。二人のフィギュアスケートへの情熱が現場にも浸透していて、苦労はしていますが、いい雰囲気は維持できていると思います。

──漫画家の久保ミツロウさんは、選手たちのイラストをツイートされたり、オリジナル横断幕を持って観戦に訪れるなど、フィギュアスケートファンであることは広く知られていました。そうしたお二人が考えるストーリーを見たい、という思いも、フィギュアスケートファンにはあるような気がします。

大塚:こういう選手を見たいとか、こんな選手にこんなことをしてほしいとか、この作品はお二人の妄想からほとんど作られているんです。面白いエンタテインメントを視聴者に送り出そうという意識も持っていますが、それだけではなく、本当に自分たちが見たいものを、監督と久保さんは集中して作れているなと感じます。だからこそ、ファンの方々の心を強引に一本釣りするようなネタが生まれてくるんだと。それはこの作品の強みであると思っています。

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト