増田さんはSU薬の他にも、降圧剤や胃腸薬など、年を取るごとに薬の数が増えていったが、「そのたびに安心感が増していった。多くの薬を飲むことが体に悪いとは思いもしなかった」と言うのだ。糖尿病治療に詳しい高雄病院理事長の江部康二氏が解説する。

「多量の薬を長年服用し続けることは、特定の副作用を誘発させるケースがあります。SU薬は膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促す作用がありますが、一方で血糖値を下げ過ぎる副作用もある。低血糖による意識障害などから転倒事故を起こして骨折し、そのまま寝たきりになってしまう高齢者も少なくありません」

 同じく糖尿病薬のビグアナイド薬も、高齢者にはリスクが高いとされる。この薬は肝臓で乳酸からブドウ糖が生成されるのを抑える作用があり、最終的に腎臓で分解される。江部氏が続ける。

「人間は60歳を過ぎると徐々に腎機能が低下します。腎機能が衰えた高齢者がビグアナイドを服用すると、薬が分解されにくくなるため血中の乳酸値が増加し、乳酸アシドーシスを発症しやすくなる。乳酸アシドーシスとは血液が大きく酸性に傾いた状態をいいますが、その状態になると嘔吐や下痢などの初期症状に始まり、放置すると昏睡状態に陥る致死率50%の疾患です」

※週刊ポスト2016年12月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
混み合う通勤通学電車(イメージ)
《“前リュック論争”だけじゃない》ラッシュの電車内で本当に迷惑な人たち 扉付近で動かない「狛犬ポジション」、「肩や肘にかけたままのトートバッグ」
NEWSポストセブン
日本のエースとして君臨した“マエケン”こと前田健太投手(本人のインスタグラムより)
《途絶えたSNS更新》前田健太投手、元女子アナ妻が緊急渡米の目的「カラオケやラーメン…日本での生活を満喫」から一転 32枚の大量写真に込められた意味
NEWSポストセブン
リフォームが本当に必要なのか戸惑っているうちに話を進めてはいけない(イメージ)
《急増》「見た目は好青年」のケースも リフォーム詐欺業者の悪質な手口と被害に遭わないための意外な撃退法 
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
妻とは2015年に結婚した国分太一
《セクハラに該当する行為》TOKIO・国分太一、元テレビ局員の年下妻への“裏切り”「調子に乗るなと言ってくれる」存在
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン
歴史学者の河西秀哉氏
【「愛子天皇」の誕生を希望】歴史学者・河西秀哉氏「悠仁さまに代替わりしてから議論しては手遅れだ」 皇位継承の安定を図るには“シンプルな制度”が必要
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「給料もらっているんだからさ〜」国分太一、若手スタッフが気遣った“良かれと思って”発言 副社長としては「即レス・フッ軽」で業界関係者から高評価
NEWSポストセブン
ブラジル訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《クッキーにケーキ、ゼリー菓子を…》佳子さま、ブラジル国内線のエコノミー席に居合わせた乗客が明かした機内での様子
NEWSポストセブン