一方で、台詞を覚える「記憶」の能力の遺伝は56%。どれだけ暗記のトレーニングをするかなどの環境が44%と大きく左右するので、遺伝が強いとはあまりいえない。
音楽家や役者、スポーツマンの子供として生まれても、大成しない人は山のようにいる。「遺伝」は成功の一要素にしかすぎない。
そんな中で、音楽一家として活躍しているのが服部一族。初代・服部良一は「昭和歌謡の父」と呼ばれる稀代の作曲家。2代目・服部克久(80才)も『ザ・ベストテン』のテーマ曲などを手がけた、昭和を代表する作・編曲家。
3代目は当代きっての人気作曲家・服部隆之(51才)。映画『HERO』、ドラマ『半沢直樹』(TBS系)、NHK大河ドラマ『真田丸』などを手がけた売れっ子だ。さらにスゴいのが弱冠17才の4代目の服部百音。5才でバイオリンを始めた彼女は、数々の世界的コンクールで優勝。10代にして全国でコンサート活動を続けている。
服部一族はなぜ音楽の世界で代々、活躍できているのか。2代目・克久はBS朝日『ザ・ドキュメンタリー「昭和歌謡の父 服部良一」』(12月8日放送)でこう語っている。
「免状があるわけではない。秘伝のタレがあるわけではない。のれんがあるわけではない。(家柄から)逃れられないなら“親の七光り”で結構じゃないか。服部という一本の木のなかで、日本の商業音楽の底上げをいつも考えてやっていきたい」
与えられた才能を社会のために――その使命感が「2世」の成功のヒントなのだろうか。
※女性セブン2017年1月1日号