学生同士で朝まで飲み明かすこともなければ、クリスマスや正月に浮かれることもない。逆に当日が近づくと神経質になり、交通事故を恐れて自転車に乗らない選手もいる。

「だからその日は、20人近いスタッフを総動員して、選手が万全で本番を迎えられるようにしているんですよ」

 小泉さんはそう言って笑った。宿泊するといっても、滞在時間は短く、元日の午後2時過ぎにチェックインして、当日(翌・1月2日)の朝5~6時には出発する選手たちのためにできることは限られている。おのずと食事には力が入るのだという。

「事前に各大学に献立をお渡ししています。食事は朝晩ともにバイキング形式で、サラダやメーン、果物などいろいろな種類をお出しするようにしています。すぐにエネルギーになる炭水化物は、ご飯、おかゆ、お餅、うどん、パスタをそろえます。あんこは要望が多い一方で揚げ物も用意しますが、控えているみたいです。お正月だからおせち料理も用意するのですが、縁起物だからか意外とみなさん食べていますね」(小泉さん)

 当日の朝食時間は選手によって違う。“走る何時間前に食事をしたい”という選手もいて、『朝3時に食べたい』ということもあった。その場合、バイキングにするわけにはいかないので、1人分、2人分と個別の献立を作る。

「そのときは、調理スタッフもみんな、午前2時に起きるんです(笑い)。ですから私たち旅館の者も、とにかく寝る間もない。でも、選手のみなさんは箱根に向けてずっとがんばってきているから、私たちも彼らを支えたいという思いが強いんです。この日のために走ってきた彼らを送り出すことが、私たちの新年の仕事始めなんです。それを大変だなんて思いません。むしろとってもありがたいことだと思っています」(小泉さん)

※女性セブン2017年1月19日号

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