ビジネス

いまだ課金系が隆盛のスマホゲーム、転換期は来るのか?

2016年世界売り上げ1位の「モンスターストライク」(公式HPより)

 コラムニストでデイトレーダーの木村和久氏が、近頃気になるニュースをピックアップし独自の視点で読み解きます。今回はスマホゲームの現状を分析。

 * * *
 2016年のスマホゲームの売上高が発表されたので、そのデータ(SuperData調査、2016年1~11月)から、スマホゲーム界の現状を探ってみたい。

 まず世界のスマホゲーム人口だが、なんと26億人おり、トータル4兆円の売り上げとなっている。その中でアジアが2.5兆円と最大の売り上げで、アジアマーケットを制する者が、世界のスマホゲーム市場を制すると言っても過言ではない。

 その4兆円の売り上げを巡って熾烈な争いが繰り広げられているわけだが、世界一の売り上げのゲームは、日本が誇る「モンスターストライク」の1300億円だ。運営会社のミクシィは、元々SNSで一世を風靡をしていた。しかし、他のSNSが乱立し、先行のミクシィが次第に埋もれていく。起死回生の策として、スマホゲームに参入する決断を下したのだ。当時、株価は200円台まで下落し危険水域に達していたが、モンストリリース後、最高6900円まで上昇。現在は4300円程度で、最安値の約20倍、時価総額は約3500億円という超優良企業に成長している。スマホゲームって、当たるとスゴイんですね。

 モンストはすでに2016年の前期で3500万ダウンロード、2000億円の累計売り上げを達成し、2017年は累計3000億円に迫る勢いだ。ちなみに最近、大ヒットしたガンホーの「パズル&ドラゴンズ」は4000億円(6000万ダウンロード)の累計売り上げだから、パズドラ越えも視野に入ってきた。

 2位は1200億円の「クラッシュ・オブ・クラン」、3位は1100億円の「クラッシュ・ロワイヤル」で、ともにSupercellというフィンランドの会社が運営している。しかも、その会社、以前はソフトバンクが筆頭株主で、最近多くの株を売却したのだ。2013年から株を2000億円程度で買い、2016年に7700億円で売却したから、6000億円弱の利益になる。つまり、Supercellの2大ゲームの儲けを、ソフトバンクが持っていったのだ。さらに、ガンホーの株もソフトバンクが約700億円で売り抜けて利益を叩きだしている。そういう意味では、世界のスマホゲームの利益をもっとも懐に入れたのはソフトバンクではないか。ソフトバンクこそが、スマホゲーム界の勝者と言っても過言ではないのだ。

 ソフトバンクの数千億円の利益を孫さんがトランプ次期大統領に約束した通りアメリカに投資し、それで日米関係が好調になるならゲームに課金した甲斐があるってものです。

 話を戻そう。続いて世界4位のゲームが910億円の「ゲーム・オブ・ウォー」、5位が900億円の「モバイルストライク」で、いずれも大元はMachineZoneという会社。2位から5位までのゲームは、戦略シミュレーションゲームの類に入るもので、中毒性がかなりある。何を隠そう私も4位の「ゲーム・オブ・ウォー」をやり始めて、まもなく3年になろうとしている。すでに課金で10万円を使っており、すごくムキになるゲームであることは確かだ。特に日本人プレーヤーは韓国のプレーヤーと同じ土俵に上げられることが多く、ゲームの中で日韓戦を展開。運営側にうまくハメられている気がしないでもない。

関連キーワード

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン