ビジネス

戦前の日本にはジョブズのような実業家がゴロゴロいた

巨万の富を築いた戦前の金持ちたち

 戦前の大富豪たちは、今では考えられないほどのスケールでカネを稼ぎ、そして使いまくっていた。彼らは、世界と伍していくために邁進していく戦前の日本の映し鏡でもあった。歴史に造詣の深いライフネット生命会長・出口治明氏を案内人に、忘れられた大物実業家たちの軌跡を辿る。

 * * *
 長崎に遊びに行こうと思って何気なく長崎市のホームページを見ていたところ、梅屋庄吉さんという実業家の存在を知りました。説明を読むと、梅屋はあの孫文に巨額の寄付をし、辛亥革命を莫大な資金によって支えていた、とある。その金額は事業で稼いだお金のほぼ全てと言われるほどで、現代人の感覚からすると俄かには信じがたいものがありました。

 僕は自分自身も会社を経営しているわけですが、今の時代にもし孫文のような人がいたとしても、会社の稼ぎの全てを一人の男に寄付するような経営者はいないでしょう。いったいこの梅屋という人物はどのようにして金を稼ぎ、なぜそれを無尽蔵に孫文の革命につぎ込んだのか。考えれば考えるほど、不思議な気がしたのです。

 同じく明治生まれの薩摩治郎八は、パリで豪遊をして今のお金で何百億円もの散財をしたと言います。

 そうした人々のエピソードを知ると、僕は戦前の日本のイメージが自分の中で変化していく気がしました。実はあの時代には近年のシリコンバレーのような自由な雰囲気があって、アップルのスティーブ・ジョブズのような実業家がゴロゴロいたのではないか。明治から大正・昭和にかけてのある時期、資本主義が芽吹いていく日本には、おそらく僕らが想像する以上に豪快な人物たちを生み出す気風があったのだろう、と。

関連キーワード

関連記事

トピックス

筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
【仕事こそ人生でも最後は妻と…】小倉智昭さん、40年以上連れ添った夫婦の“心地よい距離感” 約1年前から別居も“夫婦のしあわせな日々”が再スタートしていた
女性セブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン