この冬の時期に旬を迎える食材が「たら」(鱈)。 一般にスーパーで見かける「たら」は“真だら(真鱈)”のことをいう。
体の斑(まだら)模様が名前の由来との説がある。非常にどん欲で何でも食べるので、「たらふく食べる」の語源にもなった。産卵期と重なる今が旬真っ盛りで、寒くなるほどおいしくなる。また、たらの白子は高値で取引される高級珍味。ちなみに“たらこ”は真だらではなく、すけとうだらの卵だ。
真だらは良質なたんぱく源となり、ビタミンを豊富に含む。さらに、皮膚や粘膜の健康維持、脳神経の働きをサポートするナイアシンや、動脈硬化を予防するパントテン酸、葉酸、カリウム…など、高たんぱくで低カロリー、栄養満点の白身魚である。家庭料理研究家の松田美智子さんは、こう話す。
「輸入ものの“塩だら”は一年中出回っていますが、生の真だらが楽しめるのは今だけ。とはいえ、刺身で見かけることはほとんどないように、たらは足がとても早く、切り身になって店頭に並ぶ頃には特有のにおいが鼻につくはずです。まず、しっかりこのにおいとぬめりを取ることが肝要です」
たらは切り身で出回ることが多い。身はピンクがかった色で透明感があり、ぷっくりと膨らんで弾力があり、皮の部分が艶っぽく光っているものは新鮮な証拠だ。
たら独特のにおいは、おもに皮の部分から生じる。買ってきたらすぐにパックから出し、尾から頭に向かって皮をキッチンペーパーなどでていねいに拭く。このひと手間でにおいとぬめり、そして細かい汚れが除去でき、風味が格段に上がる。
◆「たらのムニエル」のレシピ
【1】小さなボウルにレモン汁大さじ2、塩小さじ1、白こしょう少量、すりおろしにんにく小さじ1/2、オリーブ油大さじ2を合わせる。
【2】たら2切れの皮を拭き、バットに並べる。タイム3本をのせ、【1】をかけてたらをなじませてそのまま15分マリネする。
【3】 【2】のたらの水気を押さえ、茶こしなどで薄力粉適量を軽く両面にふる。中火で熱したフライパンにオリーブ油大さじ1を引き、たらの皮を下にして置く。蓋をして3~4分焼き、フライパンを揺すってみてたらが動けば上下を返す。そのまま2~3分焼いてバター大さじ1を落とし、たらに風味をつける。器に盛り、好みでレモンを添える。
※女性セブン2017年1月26日号