国際情報

台湾の陳水扁元総統が8年ぶりに公の場に登場した背景は

台湾の元総統が久々に公の場に

 汚職などの罪で逮捕、投獄され、現在は病気治療の名目で釈放されている台湾元総統の陳水扁氏が12月末、歯科医の娘の医院開業のセレモニーに出席し、ほぼ8年ぶりに公の場で講演を行った。元々陳氏は釈放の条件として、公開の場で発言は禁止されていた。

 しかし、今回は今年5月に、かつては「同志」として同じく民主進歩党(民進党)で活動していた蔡英文氏が台湾総統に当選したこともあって、特例で公の場に出ることが許されたもようだ。これについて、ネット上では陳氏を有罪に追い込んだ台湾野党、国民党の馬英九・前総統に「一矢報いた」との書き込みがみられる。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博訊」が報じた。

 陳氏は台湾南部の台南市で行われた医院の開業セレモニーに妻の呉淑珍さんと一緒に車椅子で出席し、「これが(投獄後)最初で最後の公の場での話です」と切り出した。

 続けて、「まず蔡英文総統に感謝。次に馬英九氏に感謝。あと、メディアと私を支持してくれている人々に感謝しています」と語った。

 この場には陳氏の支持者やメディア関係者ら数百人が集まったが、支持者らからは「万歳、陳水扁」「陳水扁は無罪だ」などと声が飛び出した。台南市は民進党の支持者が多いことで知られる。

 陳氏が自らを投獄した馬氏に敢えて感謝の意を表したことについて、博訊は「感謝のために、名前を挙げることで、馬氏が陳氏に対して行った非道さを思い起こさせる効果を狙ったものだ」と指摘。「陳氏は内心、馬氏の仕打ちにはらわたが煮えくり返っているはずだ」と解説している。

「博訊」の書き込み欄には「陳水扁は感謝の言葉で、毒を吐いたことになる。今後、牢獄に入るのは馬英九だ」との言葉がみられる。

 馬氏は台北市長や台湾総統在任中、機密費などから自身に特別手当を支給しており、これが法律に触れるなどとして告発され、裁判では無罪になっているが、場合によって今後、再び蒸し返される可能性も一部では指摘されている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン