その『闇株新聞』が昨年12月30日付ブログで「来年は『バブル元年』」と断じたのだ。続く年初、1月5日付のブログでも「やっぱり今年は『バブル元年』」と宣言。ブログにはこう綴られている。
〈これを理論的に説明することも、株価が上がりすぎていると批判することも無意味です。それがバブルであり、まさに始まったばかりと感じるため今年は「バブル元年」であると考えるわけです〉
実際、年明けの東京株式市場は急上昇局面となり、「闇株新聞の“予言”の通りになった。今年はどんどん上がる年になる」(証券会社関係者)と話題なのだ。
本誌は関係者を通じて闇株新聞主宰者A氏に接触し、バブル発言の真意を改めて尋ねた。
「今年は間違いなく『バブル元年』です。実は昨秋ごろから、世界中で株バブルを引き起こす下地ができていたんです」
A氏によれば、今年バブルが起こる要因は大きく分けて2つあるという。
1つめは、「世界的な余剰資金の増加」だ。その始まりは、2008年のリーマンショックまで遡るとA氏は指摘する。
「リーマンショック以降、米国のFRB(連邦準備制度理事会)をはじめ世界各国の中央銀行による金融緩和・量的緩和が進み、大量のマネーが世に流通しました。その後も、ギリシャショックや原油価格急落、中国の人民元急落など株価の調整局面となるたびに、欧州中央銀行が金融緩和に踏み切ったり、米国が利上げを延期する実質的な緩和政策を取ったりしてきました。日本銀行の黒田東彦総裁による黒田バズーカもそうした世界的な流れのなかに位置づけられるものです。世界中でジャブジャブに積み上がった余剰資金が行き場を探しているわけです」
バブルを招く2つめの要因は、「過剰投資など企業サイドの事情」だ。こちらも嚆矢はリーマンショックであるとA氏は指摘する。
「リーマンショック以降の金融緩和や中国での大規模財政出動を受け、多くの企業が景気回復を見越した設備投資や資源、生産への投資を進めました。しかし、景気は思ったほど回復せず、世界的な過剰設備、過剰資源、過剰生産に陥った。つまり、金融緩和によって資金はジャブジャブなのに、企業がこれ以上の設備投資をしようとしない状況が生まれた。余った資金が株式市場に流れやすくなっているのです。
加えて、最近の経営者は人件費や設備投資をケチり、自社株買いをして株価を吊り上げ、株主に経営を評価してもらおうとする傾向があります。やはり株式市場に資金が流入しやすくなっているといえます」
金融緩和により世界中で余剰資金が積み上がる一方で、すでに過剰な設備投資をした企業は株式運用に走る。2つの要因が絡み合い、きっかけさえあれば「バブル」となる下地ができていたとA氏は指摘する。
※週刊ポスト2017年1月27日号