ビジネス

ホンダ・ヴェゼルVSトヨタ・CH─R 新SUV戦争の行方

SUV販売台数トップのホンダ「ヴェゼル」

 自動車業界では昔から数々の対決、遺恨試合が繰り広げられてきた。「コロナVSブルーバード」、「シルビアVSプレリュード」、近年では「プリウスVSインサイト」、「フリードVSシエンタ」等々、販売競争の事例は枚挙にいとまがない。そして今、トヨタとホンダの間で新たなる戦いが始まろうとしている──。

 その戦いの舞台は近年人気のコンパクトクロスオーバーSUV。挑戦者側はトヨタが昨年12月に投入した新モデル「CH─R」。防衛側はホンダが2014年に投入し、同ジャンルで販売台数トップを守ってきた人気モデル「ヴェゼル」である。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、両雄SUV対決の行方を占う。

 * * *
 コンパクトサイズのクロスオーバーSUVの市場は意外に古い。その嚆矢となったのは1988年に登場したスズキ「エスクード」で、その6年後の1994年にトヨタが「RAV4」で市場を大いに拡大させた。

 それらのモデルはアメリカ市場のニーズに合わせる形で、とてもコンパクトとは呼べないサイズに肥大してしまったが、ヨーロッパ市場で日産が「ジューク」を流行らせてコンパクトサイズのニーズを掘り起こし、今では欧州メーカーもこぞって参入する激戦区となった。

 トヨタの新型CH─Rは、そのヨーロッパ市場をメインターゲットとし、満を持して登場させたモデルである。スタイリングを見れば、その狙いは一目瞭然。

 全長4350mmというCセグメントコンパクトサイズながら、他人にガンを飛ばすが如き凶暴デザインの大型異型ヘッドランプ、コンセプトカーと見間違うほどに盛り上がったボディ側面のフェンダー、その強烈な存在感のボディ下半分に対し、ウインドウのある上半分は2ドアクーペのように薄く仕立てられている。

 コンパクトクロスオーバーSUVはもともと実用車にファッション性を加味するという形で発展してきたが、前述の日産ジュークを皮切りに、昔の2ドアクーペモデルのようにお洒落感覚で少人数乗車に使われるというニーズが急拡大した。トヨタはCH─Rを作るにあたり、居住性や荷室容量などの実用性については最低限持たせればいいとバッサリと割り切り、ファッション性にターゲットを絞り、作りこんできた。

 もっともヨーロッパでは、ファッション性が高いだけでは売れない。高速道路、一般道とも、日本とは平均車速がまるで違うからだ。開発を担当したエンジニアは、

「たとえばドイツではセンターラインのない1.5車線のワインディングロードも制限速度100km/h。そこでのすれ違いは相対速度200km/hにもなる。そこできちんと走れるよう、日本で煮詰めたものを向こうに持っていってチェックするというこれまでのやり方ではなく、現地の公道でセッティングを出した。パフォーマンスは十分だと確信している」

 と、自信をあらわにする。ヨーロッパの公道走行でグローバルモデルのセッティングを出す日本勢のメーカーといえばマツダとスズキが代表格だが、そこにトヨタも名乗りを上げた格好だ。

関連記事

トピックス

新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
安達祐実、NHK敏腕プロデューサーと「ファミリー向けマンション」半同棲で描く“将来設計” 局内で広がりつつある新恋人の「呼び名」
NEWSポストセブン
第69代横綱を務めた白鵬翔氏
白鵬“電撃退職”で相撲協会に大きな変化 旭富士のデビューほか「宮城野部屋再興」が前提とみられる動きが次々と
週刊ポスト
夫から殺害されたホリー・ブラムリーさん(Lincolnshire PoliceのSNSより)
《凄惨な犯行の背景に動物虐待》「妻を殺害し200以上の肉片に切断」イギリスの“怪物”が殺人前にしていた“残虐極まりない行為”「子犬を洗濯機に入れ、子猫3匹をキッチンで溺死させ…」
NEWSポストセブン
還暦を迎えられた秋篠宮さま(時事通信フォト)
《車の中でモクモクと…》秋篠宮さまの“ルール違反”疑う声に宮内庁が回答 紀子さまが心配した「夫のタバコ事情」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《株や資産形成の勉強も…》趣里の夫・三山凌輝が直近で見せていたビジネスへの強い関心【あんかけパスタ専門店をオープン】
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
30歳差コーチとの禁断愛の都玲華は「トリプルボギー不倫」に学んだのか いち早く謝罪と関係解消を発表も「キャディよりもコーチ変更のほうが影響は大きい」と心配の声
週刊ポスト
小芝風花
「頑張ってくれるだけで」小芝風花、上海でラーメン店営む父が送った“直球エール”最終回まで『べらぼう』見届けた親心
NEWSポストセブン
安青錦(時事通信フォト)
最速大関・安青錦は横綱・大の里を超えられるのか 対戦成績は0勝3敗で「体重差」は大きいものの「実力差は縮まっている」との指摘も
週刊ポスト
熱愛が報じられた長谷川京子
《磨きがかかる胸元》長谷川京子(47)、熱愛報道の“イケメン紳士”は「7歳下の慶應ボーイ」でアパレル会社を経営 タクシー内キスのカレとは破局か
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの墓を参拝された天皇皇后両陛下(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《すっごいステキの声も》皇后雅子さま、哀悼のお気持ちがうかがえるお墓参りコーデ 漆黒の宝石「ジェット」でシックに
NEWSポストセブン
熱愛が報じられた新木優子と元Hey!Say!JUMPメンバーの中島裕翔
《20歳年上女優との交際中に…》中島裕翔、新木優子との共演直後に“肉食7連泊愛”の過去 その後に変化していた恋愛観
NEWSポストセブン
記者会見に臨んだ国分太一(時事通信フォト)
《長期間のビジネスホテル生活》国分太一の“孤独な戦い”を支えていた「妻との通話」「コンビニ徒歩30秒」
NEWSポストセブン