「人間不信になって得たものもある」という
嶋:そうです。1年以上働けませんでしたからね。それに選挙に出るとなると、その準備のためにお金が必要だったんです。知り合いから2000万円くらいお金を借りていたので、その返済もありました。一戸建てを売却して、賃貸のマンションに引っ越しました。
妻は、「それがあなたの選んだ人生なんだから。戻れないなら、前を向くしかないじゃん」って言っていました。ありがたいなと思いましたね。
――政治家になって法律を作りたいという思いは、もうない?
嶋:政治はもうこりごりです(笑い)。でも、あの頃、法律を作っていじめを減らしたいと思った気持ちを失ったわけじゃありません。外に出られるようになってから、いじめに関しての講演をしたり、不登校の子たちが集まるフリースクールに行ったりしました。
政治家にならなくたって、自分で発信していくことができるんだと気づいたんです。それは、芸能人であるという実績が役に立つんですよね。フリースクールにはいじめられて、閉所恐怖症とか自閉症になってしまった子がいて、彼らとじっくり話をしました。
いじめられた子って「自分はこの世にいちゃいけないんだ」と思ってしまうんです。第三者の手によって人生が狂わされるなんて、あっちゃいけませんよね。しっかり目を見て、「そうじゃないよ。夢を見ていいし、みんな使命を持って生まれてくるんだから」と話しました。小学生から高校生くらいの子たちです。
――そんな活動をしながら、なぜ去年のタイミングで芸能界に復帰した?
嶋:『龍が如く』ってゲームが大好きで、プレイしていたら、同級生でもある中野英雄が出演していたんです。うらやましくなって中野に電話をしたら「なんで連絡してこねえんだよ、水くせえな」って言われて、会うようになったんです(笑い)。中野に「お前は芸能界の経験が30年以上もあって、戻る場所はここしかないだろ」と背中を押されました。自分のキャリアはここでしか生かせないんだな、と踏ん切りがつきました。
――引退から復帰までつらいこともありましたが、得たものは?