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毎月分配型投信を手放すか否か 分配金での判断基準

売却するか否か、「分配金」で判断する方法も

 年金受給額が減ってきているなか、老後資金の捻出手段として人気があるのが「毎月分配型投信」だ。その理由は年金に加えて、毎月決まった分配金を得られるからだが、今やその安定が揺らぎ、減配するものも少なくない。保有する毎月分配型投信を、手放すべきか否か。その判断基準となるのは何か。ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏がいう。

「減配はファンドのリスクを減らして運用を健全化するための手段であり、一概に悪いとは言えません。むしろ、元本割れを防ぐため早急に対策を取っている信用できる商品だという見方もできる」

 大きな目安とするべきは分配金だ。

■分配額が「30円」を超えたら元本取り崩しを疑う

 毎月分配型投信には元本を取り崩すリスクがある。現在の低金利ではファンドの運用利益や配当収入を原資に毎月50円以上の配当を出すのは至難の業だと、楽天証券経済研究所のファンドアナリスト・篠田尚子氏が指摘する。

「元本を取り崩さずに毎月の配当に回すには、分配金は10~30円が限度です。100円近い高額な分配金をウリにする商品もありますが、一般的に分配金が30円を超えたら元本取り崩しのリスクがあると考えましょう」

 例えば、基準価格が1万円で分配金が30円としても、分配金利回りは3.6%になる。今のマイナス金利時代にこれほどの高利回りは他の金融商品では難しいことからも、無理が生じていることが推察できる。

■投資先が「国内債券」なら分配金が「15円」でも注意

 楽天証券は投資先ごとの「常識的な分配金」の目安を一覧表にしている。例えば「国内株式=15円程度」「新興国株式=22円程度」となる。

「毎月分配の場合、すべての保有者に平等に分配するため、多額の資金確保が必要です。表にある金額を大きく上回る分配額のファンドは、運用資産額が横這いまたは下落したら、元本を取り崩す可能性が高くなります」(篠田氏)

■分配金が過去最低を更新したら“危険信号”

 減配のリスクを見極めるには、運用報告書で「過去の分配金額の実績」をチェックする必要がある。

「仮に70円から60円に減配されたとしても、当初の分配金が50円だったら心配は少ない。ただし、分配金が過去最低を更新するケースは運用状況がかなり悪化している可能性が高く、売却を含めて対応を検討すべきです」(深野氏)

※週刊ポスト2017年2月3日号

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