老後の最大の「家族問題」には相続や介護などお金が絡むことも多いが、「子供や孫のために、お金を残す必要もない」と言う。

「例えば、子供の結婚式費用を半分以上出す親がいます。それでいながら自分たちの老後の生活は『面倒を見てよ』とアテにする。何とバカバカしいことかと思います。

 子が親の面倒を見るのは、これからの時代は無理。若い人が年配者の面倒を見るという制度が成立しなくなってきているのは、この国の年金制度を見ればよく分かるでしょう。自立した子供たちには『もう面倒は見ないから自分たちで生活してくれ。その代わり、こちらの面倒を見てくれとも絶対言わない』と約束を交わした方がいい」

 友人や家族の整理には勇気もいるし、気後れもある。だからこそ、弘兼氏は「それがストレスに感じる人は実行しなくたっていい」とも言う。

「60過ぎたら様々なことを気にして苦しむよりも、自分の生きやすい空間を作って、その中でストレスなしに生きるのが一番じゃないか、という提案です。

 人生は、いつまでも夏じゃない。秋になり冬になり、最後は雪の中に埋もれるように死んでいくんです。色んなものを冥途まで持って行っても、何の役にも立たないですから(笑い)」

※週刊ポスト2017年2月3日号

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