国内

絶滅危惧・日本の伝統野菜の保護に乗り出した社長の奮闘

日本の伝統野菜を守ろうと活動している八百屋「warmerwarmer」経営者・高橋一也さん

 去年の夏から今年にかけて、主婦がこれほど頭を悩ませた時期はなかった。全国的に豪雨や日照不足で野菜が育たず、品不足に陥り、必然的に大幅な値上がりに直面したからだ。

「白菜が1個500円だって!」
「小松菜が1束300円!」

 悲鳴のような声が飛び交って、家計のやりくりも献立作りも苦労した。ふだんあまりにも身近にあるから、気にも留めない野菜だけれど、ないと困る! と誰もが実感したはずだ。 それでも、一年を通してスーパーには果菜も葉物も根菜類も、最近ではカタカナ名前の珍しい野菜も並んでいて、こんなに野菜の豊かな国は世界中ほかにないといわれている。

 一説に、世界で栽培されている野菜は約800種。そのうち日本では、商品として流通する野菜が150~180種栽培されているといわれている。

 2016年秋には、恵泉女学園大学教授の藤田智さんが「1980年には1214種あった日本の伝統野菜が、2002年には556種以上へと減少した」と発表し、話題を呼んだ。今、絶滅の危機にある日本の伝統野菜を守ろうと活動している、八百屋「warmerwarmer」を経営する高橋一也さんに話を聞いた。

「日本だけで約1200種にのぼります。実際に1980年には1214種が記録されています。そのうち400種は絶えてしまったという学者さんもいますが、ぼくが知るだけでも、400種はまだ確実に栽培されています。こんなにたくさんの野菜があるということは、日本人が農耕民族だというまぎれもない証拠ですよね(笑い)」

 高橋さんは見るからに、野菜が好きで好きでたまらない、といった笑顔で、「日本にはそれだけその土地に根ざしたたくさんの野菜があるんです。分類上はただの“大根”でも、その土地ごとの大根があって、実に個性豊か。それを育てて食べている人たちは、それが昔ながらのなんでもない大根だと思っていますが、ぼくから見たら本当に貴重な大根なんです。そして、これらは地域の宝なんです」(高橋さん、以下「」内同)と語った。

 あなたは、大根の味がどんな味かすぐに思い出せるだろうか? 例えば、と高橋さんが例に挙げるのが、平家大根だ。

「これはなんと宮崎県椎葉村の人々が、800年も前から栽培してきた大根です。椎葉村が平家の落人伝説の土地なだけに、平家大根と呼ばれています。自由に手足を伸ばして育っているとしかいいようのない、ずっしりしたいい大根なんです」

 ずんぐりした形にはなんともいえない親近感が持て、おでんにしてもおいしそう、と思ってしまう。

関連キーワード

トピックス

オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン