「竜王戦の挑戦権剥奪と出場停止期間の経済的損失だけでも相当な金額になる。竜王戦に勝利すれば4400万円、4連敗したとしても1400万円の収入となるはずだったんですから。名人戦順位戦A級(名人位への挑戦権を10人で争うリーグ戦)の地位は保全されましたが、(欠場した対局が)最終順位に影響する。仮に今後、(B級に)落ちれば甚大な損害です。弁護士費用や精神的慰謝料を含めれば、1億円以上でもあり得ますよ」

 西村九段は、連盟の初期対応に大きな問題があったと指摘する。

「10月12日に処分を決めているが、(連盟の)執行部は決定前に顧問弁護士にすら相談していない。ここが最大のポイントなんです。現在の理事会は経験不足で、未熟で、(将棋しか指せない)いわば天才バカの集まりなんです。バランス感覚のない人ばかり。

 理事の中でも片上大輔(35、六段)なんて、将棋はパッとしないけど東大法学部を出ていて、他の棋士よりは社会性があるだろうと思っていたが、はっきり言って中卒の私よりなかった」

 西村九段は、米長邦雄前会長(故人)時代を含め、20年以上にわたって連盟の理事を務めた経験がある。それもあってか、現職理事たちへの憤りは収まらない。

「今回、第三者委員会を立ち上げたのも、外部理事(非常勤)である川渕三郎さん(日本サッカー協会最高顧問)、岡野貞彦さん(経済同友会常務理事)の2人から『証拠が明確でないのに処分してはいけない』と指摘を受けたからですよ。

 私が理事だった頃、『我々は将棋のプロで、一般常識を知らないことは恥ではない。法律のことは弁護士、税金のことは税理士に相談すればいい』と理事会で提案しても、理解できない理事ばかりだった。米長前会長は長所も短所もある人だったが、そういったことは理解していましたがね」

※週刊ポスト2017年2月10日号

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