芸能

本田博太郎 胡蝶蘭でなく霞草とかタンポポでいいから満開に

独特な存在感から「怪優」とも称される本田博太郎

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、いまではその独特な存在感から「怪優」と称されることもある本田博太郎が、若き日に演出家故・蜷川幸雄さんから教わったことについて語った言葉からお届けする。

 * * *
 本田博太郎は1979年に蜷川幸雄演出の舞台『近松心中物語』で、平幹二朗の代役として主役を演じて注目を浴びる。

「劇団というのは合わなかった。組織の中でやっていく人間じゃないんだよね。いい子になるのは嫌だから。小さな組織の中でごますり合いながら役をとるなんて、俺には面倒臭かった。

 そんな時に蜷川幸雄さんが新人を探しているというので面接を受けたら良き出会いがあって。それからは蜷川さんの下で大部屋俳優みたいなことをしていました。やはり商業演劇というのは、名がないと役がつかないんです。

 公演の中日に平さんが倒れ、『お前やれ』と抜擢されました。

 蜷川さんから教わったのは演技というより生き方です。生き方が俳優に反映するということ。

 たとえば、『ロミオとジュリエット』をやった時、俺はロミオ役で神父に甘えるシーンがあるんですが。蜷川さんに『バカ野郎! お前は人に甘えたことがないから、甘える芝居ができないんだ! 全身全霊で神父に甘えるんだよ!』と怒鳴られました。嬉しくて、涙が出ましたね。たしかに俺は人に甘えたことがなかった。そのことを見抜かれちゃったんです。

 演技術じゃないんですよ。俳優は演技を見せるんじゃなくて、自分の生きてきたものを反映させていかなければならない──。そのことを教わりました。テクニックだけの役者を観ても感動しない。下手でもハートが強烈に強い奴の方に目が行く。だから、俺の奥底にあるものが湧き出て、それが画面に表現できた時は『俳優をやっていてよかった』と思う」

 その後、仕事の流れが少しずつ変化し、脇役・悪役に回ることが多くなってきた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
保護者責任遺棄の疑いで北島遥生容疑者(23)と内縁の妻・エリカ容疑者(22)ら夫妻が逮捕された(Instagramより)
《市営住宅で0歳児らを7時間置き去り》「『お前のせいだろ!』と男の人の怒号が…」“首タトゥー男”北島遥生容疑者と妻・エリカ容疑者が住んでいた“恐怖の部屋”、住民が通報
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
学業との両立も重んじている秋篠宮家の長男・悠仁さま(学生提供)
「おすすめは美しい羽のリュウキュウハグロトンボです」悠仁さま、筑波大学学園祭で目撃された「ポストカード手売り姿」
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン