事実、『人間の証明』(フジテレビ系)、『砂の器』(TBS系)、『医龍』(フジテレビ系)、『わたしたちの教科書』(フジテレビ系)、『JIN-仁-』(TBS系)など、シリアスな作品との相性も良好。今年の元日にもドキュメンタリードラマ『江戸城無血開城』(NHK BSプレミアム)で西郷隆盛を緊張感たっぷりに演じていました。「そろそろ違う顔の二朗さんも見たい」というドラマファンは多く、個人的には意表を突いて“普通の人”の演技が見てみたいところです。
私はかつて佐藤さんに2度取材し、飲酒拠点・高円寺でも3度会って言葉を交わしたことがありますが、売れっ子の今も「他の俳優が出演している作品を見ると悔しくなる」という若々しさと、後輩を気づかい、声をかける優しさの持ち主。このところ『A-Studio』(TBS系)、『ネプリーグ』(フジテレビ系)、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)、『フルタチさん』(フジテレビ系)などバラエティー番組からのニーズが高まっている背景には、こうした人間性もある気がします。
進化し続けるアドリブがどこに行き着くのか。それとも、別の何かを見いだし、洗練させていくのか。演技に加え、脚本・演出の実績も豊富であり、ツイッターも書籍化される人気ぶり。佐藤さんが今後どのような道に進み、日本の映像・演劇界にとってどんな存在になっていくのか、楽しみでなりません。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。