◆医師任せか、自己責任か

 安楽死と自殺幇助がいずれも合法のオランダでは、患者がどちらを選ぶかは、その人の“死の哲学”による。「死を医師任せにしたい」のか、「死を自己責任にしたい」のか、という選択だ。

 一方、スイスや米国では、死の寸前まで手助けされるが、「実際に死ぬのは患者本人」という考え方がある。背景には「なぜ医師があえて薬物投与をして死に至らせなくてはならないのか」という悩みもある。

 スイスの自殺幇助団体「ライフサークル」代表のエリカ・プライシック女医は、「最終的に死を決めるのは医師ではなく、患者本人。医師が致死薬を打つことは、スイスでは殺人になる」と話す。

 安楽死や自殺幇助が認められるためには、【1】耐え難い苦痛を伴っていること、【2】回復の見込みがないこと、【3】本人の明確な意思があること、の3つが最低限必要となる。

 2015年に安楽死か自殺幇助のいずれかで死亡した人々の数は、オランダでは5516人、ベルギーでは2022人、スイスでは782人、オレゴン州では132人だ。

 どの国、地域においても、安楽死や自殺幇助が合法になると、こうした手段で死を選ぶ患者が増えているのだ。

※週刊ポスト2017年2月17日号

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