国際情報

中国の渋滞都市ランキング 北京は「3位」でしかなかった 

中国の都市の渋滞は深刻(写真:アフロ)

 都市の成長とリンクしやすいのが渋滞。中国の都市の多くが問題解消に頭を悩ませている。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 中国で最も渋滞のヒドイ都市はどこか? そんな質問をされれば、ほとんどの中国人は迷わずこう答えるに違いない。

「北京!」

 いまや渋滞は北京の一つの名物でさえあるから当然だ。しかし、現実にはそれは必ずしもそうではないという。

 この根拠となったのは1月10日に交通運輸部(省)科学研究院など複数の研究所が合同で発表した〈2016年度 中国主要都市交通分析報告〉のなかにあった資料、各都市の渋滞度ランキングである。

 この資料によれば北京の渋滞の深刻度は全国で三番目。山東省済南市、黒竜江省哈爾浜(ハルビン)市に次ぐ位置だという。ちなみに、そのベストテンを悪い順に並べてみると、済南市、ハルビン市、北京市、重慶市、貴陽市、深圳市、昆明市、杭州市、大連市、そして広州市であった。

 このランキングで一位の都市は、自動的に出勤が最もつらい都市ということになる。

 興味深かったのは、北京や上海などの大都市では一様に伸び幅が低く、深圳に至っては対前年比でマイナスになってもいることだ。つまり大都市の渋滞レベルに各地方の都市が急速に追いつき追い越したことがこの資料から読み取れるのだ。これはある意味で中国の地方ではまだまだモータリゼーションの波が続いているということでもある。

 だが、この渋滞の深刻さを見れば、誰もが思い浮かべるのがPM2.5の問題だろう。トランプ新大統領の誕生で米中がそろって提出したパリ協定の行方は不透明になっているが、いずれにしても中国の大気汚染は早急に取り組まなくてはならない問題になっている。そんなとき、まだまだ自動車の需要が増えているといっても、それを素直には喜べないのが本音かもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン