◆時間稼ぎはやめろ!
「反対の声が上がったのは、署名した28人が、“現執行部に反旗を翻した棋士”として世間に晒されることを恐れたからですよ」
そう語るのは株主優待を使いこなす“財テク棋士”として知られる桐谷広人七段(67)だ。
「何を隠そう私は動議に署名した28人のうちの一人です。理事たちは、連盟の顧問弁護士に相談せずに三浦九段の処分を決め、組織に多大な損害をもたらしたのだから、辞任は当然でしょう。この動議がなければ、5人の理事は辞める気などさらさらなかった。今回、私は講演の仕事があったので総会には出席していませんが、動議に署名していたので詳細な情報を入手しています。
私は2007年に引退しているから何をいわれてもいいが、動議に署名した現役棋士たちは、名前を公表されたら連盟やその周辺から仕事が回ってこなくなる恐れがある。過去には現職理事からの頼み事を断わっただけで仕事が来なくなったと嘆く棋士もいました」
28人の名前が読み上げられれば、それが反執行部派への締め付けにつながるとする見方だ。
「今回署名したのは28人、動議に賛同しているのに報復を恐れて署名できなかったという棋士が多いと聞いている」(桐谷七段)
動議を巡る騒ぎが収まった後も、会長代行として臨時総会に臨んだ専務理事の青野照市九段(64)らに厳しい声が相次いだ。
「三浦九段の問題に関する執行部への質疑が始まってからも、『記者会見の始まる時間が決まっているので、30分くらいしか時間が取れない』という説明があり、“おかしいじゃないか”といった声があちこちから上がりました」(前出の出席した棋士)
結局、そうした抗議の声を受けて質疑応答は予定時間を大きくオーバーしたという。
「のらりくらりと関係のない話をする執行部に対して“時間稼ぎはやめろ”という怒号が飛んだし、一説には4000万円以上ともいわれる三浦九段への慰謝料がいくらになるのかという質問も出ました。執行部側は『(金額は)まだ決まっていない』などの回答に終始しました」(桐谷七段)