◆「大阪」は動くのか
本誌は1月30日発売号(2月10日号)で、三浦九段の師匠で元連盟理事でもある西村一義九段(75)の独占告白を掲載。西村九段は将棋連盟を厳しく批判した上で、「理事の総辞職」と三浦九段への「慰謝料1億円支払い」を突きつけた。
奇しくも、臨時総会ではまさに西村九段が訴えた「理事の解任動議」や「慰謝料」を巡って議論が紛糾したことになる。桐谷七段はこういう。
「理事解任の動議に発起人として名を連ねた棋士は3人いて、滝誠一郎八段(68)、西尾明六段(37)、上野裕和五段(39)です。
滝さんは長く連盟の理事を歴任した人で、上野君は故・米長(邦雄)会長時代に“若手の中から代表で理事に送り出そう”ということで選ばれた人物。どちらも正義感の強い棋士という印象です。西尾君は、専務理事の青野九段の弟子で、いってみれば師匠を糾弾する側に回ったわけですから、これには驚きました。3人とも連盟を立て直す信念でやっているのでしょう」
27日の臨時総会で、過半数が賛同すれば現職の理事たちは解任される。
「多くの棋士たちは、まだ様子見の状況です。執行部への不満にも温度差がある。とくに大阪の棋士は(兵庫県神戸市出身の)谷川前会長への批判が高まるのは忍びないと考えて、今回は及び腰です」(別のプロ棋士)
三浦九段は2月13日の羽生善治三冠との復帰戦を前に、記者団の取材に応じて“冤罪”に問われた際の苦しい心中を明かすなど、世間の印象は執行部の責任を問うほうに流れている。
「動議への賛同が過半数になって改めて5人の理事を選び直すとなると、かつて理事を務めてきたようなベテラン勢が出てくる可能性もあれば、改革派の若手が立つことも考えられる。そこで派閥争いが起きるようでは、連盟の正常化はまた遠のくことになる」(連盟関係者)
さらなる内紛に発展する可能性まであるわけだ。解任動議が可決された場合の対応について連盟は「規定に則って進めるほかありません。解任が起きた場合、(理事は)当面は欠員となります」(広報担当者)とするのみだった。
27日の臨時総会に向けて、事態は動き続けている。
※週刊ポスト2017年2月24日号