ただし、接待ゴルフが万能だとは言いません。デメリットは時間がかかるということ。丸一日要することなので、効率が悪い場合もあります。ゴルフに行っても、「仕事につながることは何もなかった」ということは実際によくあることなので、新規の顧客をどんどん開拓していきたい人にはゴルフは不向きです。ゴルフが効果を発揮するのは、長期の取引相手、大口の取引相手との信頼関係を築きたい場合です。懇親会や会食はせいぜい1時間か2時間程度のものなので、信頼関係を深めるところまでは難しい。ゴルフは一日中一緒にいますし、その時の振る舞いやプレースタイルに人間性がよくあらわれるので、より深く相手とわかり合えるのです。
中には嫌々接待ゴルフに行っている人もいるでしょう。他のスポーツと同様、ゴルフも好きな人、嫌いな人に分かれます。ですので、もし「自分には合わないな」と思ったらゴルフに固執する必要はありません。そのぶん、別の強みを持てばいいのです。接待ゴルフでは相手への気遣いも大事ですが、何より自分が楽しめていないといけません。自分が楽しめていないと、それが相手にも伝わってしまい、マイナスのイメージを与えかねません。
◆トランプ大統領と同じ「趣味」を持った安倍首相はラッキー
ではなぜ私がとりわけゴルフを勧めるのかというと、ゴルフは共通の話題にしやすいということがあります。私には乗馬という趣味もありますが、競技人口が少ないので共通の話題づくりとしてはほとんど使えません。でもゴルフは多くの人との共通項になりやすい。安倍首相がトランプ大統領にゴルフクラブを贈って話題になりましたが、ゴルフ好きの人はクラブの話だけでも盛り上がれるんです。今回、自分の好きなゴルフで新大統領と距離を縮めることができた安倍首相はラッキーだったと思います。ビジネスパーソンはゴルフをしていれば、こういうラッキーな場面に出会うこともあるでしょう。
これからゴルフに挑戦しようと思っている若手ビジネスパーソンにアドバイスを送るとすれば、まずはしっかりと練習をすることです。あまりに下手だとコースに出た時に迷惑がかかってしまいます。スコアの目安としては、できれば100前後、最低でも110以内で回れる実力を付けておきましょう。120を超えるようだと自分のプレーだけでも一杯一杯になってしまい、相手を気遣う余裕も生まれません。練習期間はだいたい3か月から半年くらいはかかると思ってください。先輩に教えてもらう程度ではなかなか上達せずに、時間を無駄にしてしまいます。きちんとレッスンプロに習って、確実な技術向上を目指してください。そのほうが結局早道です。
◆「プレー中は仕事の話はしない」が鉄則