テレビ西日本で毎週金曜日深夜24時55分から25時25分に放送されている『ゴリパラ見聞録』は、福岡県の人気ローカル番組だ。ゴリけん、パラシュート部隊(斉藤優、矢野ぺぺ)という3人のお笑い芸人が、福岡の街頭などで行きたい場所を聞き、目的地をあみだくじで決定。日本全国どこへでも、依頼者の代わりにお望みの写真を撮影しに行くという珍道中バラエティー番組。
今年で8年目を迎え、番組DVDの累計売り上げは、6万枚を突破し、全国でイベントを開催するほどの人気だ。生駒央正プロデューサーはこう話す。
「人気になったきっかけは、2012年です。番組改編期で、打ち切りを検討され、他番組の1コーナーにせざるをえなくなってしまったんです。その際、出演者が番組の待遇に不満を漏らす姿をそのまま放送しました。もともと、芸人の素の部分を見せるのが番組のコンセプトでしたが、彼らが酒を飲んでぼやき始めたら、『頑張れ!』と応援してくれる人が増えていきました」
出演者の1人、ゴリけん(43才)も素を出すことが大事だと実感している。
「ボケたり、面白くしたりしようとねらってやったところは放送してくれません。むしろ、流してほしくないところを放送される(笑い)。旅の間は、ずっとカメラが回っているので、駐車券をなくして、延々と捜しているところや、借金がバレて嫁に電話で怒られているところなども撮られていてそのまま放送されるんです」
悲哀に満ちた場面を包み隠さずに放送する。それが視聴者の共感を呼んでいるのだろう。
「頑張れと応援してくれる視聴者の多くは、ぼくたちと同世代です。主婦は、『あんたもこういうことをしてるけん、こっちは怒ってるんだよ』という見方をするし、旦那さんは、『こいつらも怒られながら頑張ってるんだな』って見方をする。自称、『中高年の代弁者』です(笑い)。ぼくたちの素の部分を見て、自分だけじゃないと前を向く糧になればと思います」(ゴリけん)
※女性セブン2017年3月9日号