当初、マスコミは在特会のこうした活動を無視した。曰く「取り上げたら宣伝になってしまう」とのことだ。その後「カウンター」と呼ばれる反対派の登場に至り、衝突が何度も発生した。2014年11月をもって在特会の会長を辞任し、脱退。で、今である。

「日韓断交」を訴えるように、基本的に桜井氏の考えは変わっていないだろう。とにかく韓国への憎悪を募らせることが日本人にとって良いことであると考えている。都知事選でも韓国・在日、そして中国への罵倒をしたが、それでも全体の5位に相当する11万4171票を獲得。あのマック赤坂氏を上回ったのである。

 アメリカではドナルド・トランプ氏が大統領になり、フランスでは極右政党・国民戦線を率いるマリーヌ・ルペン氏が大統領選の事前世論調査では支持率27.5%で1位となっている。「極右ブーム」とも言える状況での桜井氏の出馬だが、今回もマスコミは「ただの泡沫候補が出たか、ケッ」とスルーしてはならないだろう。

 こうした人物は風を読むのに長けており、大衆操作が上手だ。一般大衆を「抑圧されたかわいそうな人々である」と規定したうえで、敵の存在を示し、その敵さえいなければ、抑圧から解放され、幸せな人生がやってくると訴えかける。

 これに感動し、一票を投じる者が増え実際に国政選挙に桜井氏が勝利した場合、「韓国との国交断交」をより頻繁に主張できる機会が増えるのである。日本共産党や民進党のリベラル派との丁々発止のバトルも予想できるが、これぞ桜井氏の思うつぼ。かつて大阪でのヘイトスピーチを許さないとした橋下徹・前大阪市長と公開バトルを行ない、「お前なぁ」「お前って言うな!」と罵り合いをし、全国放送された。

 過去の桜井氏の言動は一度チェックすることをお勧めする。

※週刊ポスト2017年3月17日号

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