それだけの短期間で復活できた最大の要因は、不採算事業から撤退し、より採算性の高い事業に経営資源を集中させる「選択と集中」にあった。
「家電メーカーの顔」といわれたテレビからの撤退をはじめ、各電機メーカーが主力としていた携帯電話、パソコン向けのHDD(ハードディスクドライブ)事業を次々と手放した。
グループ再編にも大ナタを振るった。グループ内で「御三家」と呼ばれる日立金属、日立電線、日立化成のうち、日立金属と日立電線を合併。日立マクセルや日立ソフトウェアエンジニアリング、日立情報システムズなどの優良な上場子会社5社への出資比率を100%に引き上げて、完全子会社化に踏み切った。
グループ全体の総合力を高めるために経営効率化に向けた取り組みにも着手。2011年にはグループ内で横断的にコスト削減を図る「スマトラ(スマート・トランスフォーメーション・プロジェクト)」を進め、2015年度までに累計4000億円のコスト改善効果をもたらした。
2014年には国内の管理職約1万人以上を対象に年功序列を廃止して、成果主義を導入するなど賃金制度にもメスを入れている。
※週刊ポスト2017年3月17日号