「考えるべきは富の再分配のシステム」(堀江貴文氏)


堀江:「働いて給料をもらう」という考え方自体が前時代的になると思う。いまでも人気の会社には学生のインターン希望者が殺到して、「お金はもらえなくていいから働きたい」というでしょ? テレビ局なんかも、本当はテレビ局が出演者からお金もらっていいはず。出たい人が大勢いるんだから。

落合:働きたい人からお金をもらうということですよね。「働くことがエンターテインメント」というのは、そういうことです。

 そのように世界が変化するのは、やはりスマホの影響が大きいですね。スマホは人にくっついて移動するから、そのままネットワークにつながる。もともと人間は“ロボットとしては高性能”なんです。

 機械は故障リスクが高いけど、人間は病気になってもとりあえず働く(笑)。だからいまは人間にスマホをくっつけることであらゆるサービスのベースになっているけれど、やがて人間がいなくても成立するようになる。

堀江:最初だけ人間を使うんだよね。

落合:はい。エベレストの頂上に最初に行くのは人間だけど、そこに無線機を1個だけ置いてくれば、あとは機械がそこまで行けるようになるわけです。

堀江:そういう世界で「人間がいかに生き残るか」「人間の仕事を機械に奪われないためにどうするか」と考えるのは、あまり意味がない。

 そもそもこの世界は富が偏るようにできていて、いまでも8人の金持ちが世界人口の半分の36億人と同じ富を握っているわけでしょ。機械が仕事を全部やるようになっても同じこと。考えるべきは、富をどういう仕組みで再分配するかだけだと思う。

落合:しかし、僕はもう“カリフォルニア帝国支配”が完成しつつあると思っているんですよ。グーグルなどの拠点があるアメリカ西海岸が世界を支配してしまう。富の再分配を考えたとき、さすがに国境を越えて分けてくれることはないのでは……とも思います。

●ほりえ・たかふみ/1972年生まれ。実業家。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。株式会社ライブドア元代表取締役CEO。『ゼロ』『本音で生きる』など著書多数。

●おちあい・よういち/1987年生まれ。筑波大助教。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。著書に『これからの世界をつくる仲間たちへ』などがある。

※SAPIO2017年4月号

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