犬のしつけは子犬の頃にしておくのがセオリーだといわれている。しかし、いろいろな事情では成犬になってからしつけをしなければいけないケースもある。岐阜県の女性から、こんな相談が届いた
「保護団体から9才の雑種犬を引き取りました。前の飼い主はしつけ全般をしていなかったようで、噛み癖があり、トイレも所定の場所でできません。成犬でのしつけは無理ですか? 方法を教えてください」(岐阜県・いちごラブ、45才・パート)
しつけ教室・犬の保育園SKYWAN! DOG SCHOOL代表、家庭犬しつけインストラクター歴は17年の井原亮さんが、アドバイスをします。
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犬と人間が一緒に暮らすのに必要な“トレーニング=しつけ”は、子犬の頃に行うものと思われていますが、何才になってもできます。年齢を気にすることはありません。
◆新しい家のルールを一から教えてあげて
成犬を引き取った場合、“しつけができていてあたり前”と捉とらえない方がいいでしょう。新しい家での生活はその子にとってはすべてが初体験。この家で、どのように生活するべきなのか、飼い主が考える“正解”を犬は知りません。
たとえ、基本的なしつけができている子でも、子犬同様に一から教える気持ちで接してあげてください。まずは、トイレの場所、寝る場所、散歩のルールを決め、家族で情報を共有して、犬に教えてあげましょう。
そして、飼い主は“ほめてくれる存在”だと感じさせることが大切。悪いことをしても、頭ごなしに叱ってはいけません。嫌な思いをしたという経験が残るだけで、嫌われてしまう可能性があります。
いちごラブさんのワンちゃんのように、噛み癖があるならば、まずは噛まれて困る物はしまうこと。動かせないテーブルや壁の場合、噛むと苦い味がする市販のスプレーなどを、犬が見ていないうちにかけて、“噛んだら苦かった”という体験をさせて学習させます。そして、いつも噛んでいたものを噛まなくなったら、たっぷりとほめてあげましょう。
◆過去の経験を尊重することも大切
子犬は真っ白な紙のような脳をしています。そこに経験したことを書き、その経験をもとに次の行動をとります。ですから、覚えてほしくないことは体験させず、いい行動や体験をたくさんさせながら育てるのが理想的です。
それに対し成犬は、迎え入れるまでの生活環境がさまざま。引き取った場合、過去の生活環境を知ることが重要です。
どのような生活をしていたのか情報を集め、飼い主が、以前と同じように受け入れてあげることも必要です。
例えば、過去の生活でトイレを外で教えられていた犬に、突然、室内でさせようとしても、それはできなくてあたり前。時間をかけて教えていくことも必要ですが、飼い主もある程度、過去の経験を尊重してつきあってあげましょう。
※女性セブン2017年3月23日号