すっかり自信を深めた自民党は安倍首相の退陣後も政権を維持し続ける仕組みをつくろうとしている。麻生太郎・副総理が中心になって党内を2大派閥に再編し、その2大派閥から交互に首相を選ぶ党内の“疑似政権交代”によって自民党が永久に政権を維持していく構想だ。
果たして、それは国民が望む日本の政治の姿なのだろうか。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が指摘する。
「日本の政治に閉塞感が強まっているのは、選挙の硬直化が原因です。衆院の小選挙区では選挙協力をする自公の候補に国民の信頼がない民進党はなかなか勝てない。参院の2人区は自・民で議席を分け合い、3人区は自・民・公、4人区以上でようやく共産党など他の野党が議席を取る。既成政党間の議席配分が“お約束”になって政治にダイナミズムは生まれない。緊張感を失った自民党はひょっとしたらこのまま永久政権に持って行けるんじゃないかと考える」
確かに、この間、「政治の変化」を期待した国民は裏切られ続けた。民主党政権に失望し、新しい政治勢力として期待された日本維新やみんなの党も分裂や解党に追い込まれ、ついに自民党の対立勢力にはなり得なかった。
だが、もし、そんな「政治のお約束」がぶっ壊れるような選挙が行なわれれば、日本の政治は大きく変わる可能性がある。
首都・東京で起きている動きがまさにそれだ。本誌・週刊ポストは7月2日投開票の東京都議選の選挙区別の情勢を独自に取材・分析した。その結果、「小池新党」(都民ファーストの会)という新たな選択肢を与えられた有権者が、従来とは全く違う投票行動を取る可能性が強いことがわかった。小池百合子・東京都知事の「東京大改革」の呼び掛けに集まった“素人集団”が1人区だけではなく、2人区、3人区、はては8人区まで自民、民進、公明、共産の既成政党の候補者を駆逐する勢いなのだ。