国際情報

大前研一氏 「米との二国間協議で日本の官僚は勝ち目なし」

トランプ氏は必ず日本への攻撃を再開する AFP=時事

 トランプ政権は今後、日本に対して本格的に貿易交渉や経済協定の見直しを主張してくることになる。その時、我が国はどう対応すればよいのか。大前研一氏は「トランプ大統領の主張にまともに向き合ってはいけない」と警告する。

 * * *
 トランプ大統領が繰り返し発言している「日米の自動車貿易は不公平だ」という主張が、トヨタ自動車をはじめとする日本の自動車メーカーを揺さぶっている。2月の首相訪米は「親密さ」が演出され、貿易に関するシビアな交渉はなかったようだが、トランプ大統領の側近たちは必ずまた日本に対し、仕掛けてくるはずだ。
 
 安倍晋三首相は、訪米前にトヨタの豊田章男社長と会談して対応を協議するなど、右往左往していた。しかし、なぜトランプ大統領がそんなことを主張しているかを分析すると、もっと冷静に対応すべきだということがわかる。

 トランプ大統領は、販売低迷で日本市場から昨年撤退したフォード・モーターなどアメリカの自動車メーカーに陳情されたことを、そのまま発言しているにすぎないと見るべきだ。

 フォードやGM(ゼネラル・モーターズ)は、中国でかなりの台数を販売している。彼らにとって中国は北米に次いで重要な市場だが、昨年は日本勢が伸びている。このためアメリカのメーカーは中国でも日本車にシェアを奪われるのではないかと危惧し、トランプ大統領の力を借りて早めに日本勢をつぶしておきたいと考えているはずだ。彼らの陳情がトランプ大統領に「日本は輸出が多すぎる」「日本はアメリカ車をもっと輸入しろ」と言わせているのである。

 2月の日米首脳会談では麻生太郎副総理兼財務相とマイク・ペンス副大統領による「経済対話」の枠組みが決まった。その経済対話では今後、アメリカ側が2万~20万台のミニマム・アクセス(最低輸入台数)の設定を要求してくるのではないかと思う。あるいは、日本車が中国市場で売れないようにタガをはめる何らかの策を講じてくるかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン