女性セブンの名物アラカン記者“オバ記者”こと野原広子が、世の不条理に物申す! 今回のターゲットは「ネット」です。思うところがあり、スマホからガラケーに戻したというオバ記者が吠える!
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一時期、すごく仲良しだったTさんと数年ぶりに会って話したら、「日本は最低最悪の国」とやたら鼻息が荒い。
「まだニュースはテレビで見ている?」と、上から目線。で、あるブロガーの名前をあげ、「もし今の日本がどうなっているか知りたいなら、読むべき」と真剣そのものなの。
読んだわよ。口の中が苦くなるそのブログを。福島第一原発は放射能漏れがひどく、東京は汚染されているというのがまず前提。そして『10年以内に日本の人口は4000万人に減る』だの、『政府が国家主権を投げ出す日が必ず来る』だの。
これがまともな日本語で書いてあるなら、私も身を乗り出したよ。けど、「鷲」(わし)、「牛~」(もう)、「…鴨知れん」(かもしれん)と書く71才ブロガーが信じられるわけがない。
ま、そのジイさんはどうでもいいけど、Tさんの変貌ぶりが悲しくてね。パソコンは人と人をつなぐけど、引き離すこともあることを思い知ったわよ。
それからしばらく、毒を食らわば皿までの心境で、ブログや“コメント欄”を読み漁あさったけど、匿名の人が発する口汚さと言ったらない。根拠なんかなくても政治家の悪口を言っていると、自分が何様かになったようでいい気分みたいなのよ。
内容はさておき、その心情はヒシヒシ伝わってきて、人ってこんなにイヤな生き物だったっけ、と読むほどに気が滅入って仕方がないんだわ。
そんな私も、日々の調べものにはパソコンは欠かせないし、日に何回、「ネット」が頭をよぎるか。この道具が私の脳の回路にまで入り込んでいると思うとゾッとする。
けど、電車の中で、旅先で、ここにタブレットがあったらどんなにいいかとも思うわけ。しかしさ、「人のふり見てわがふり直せ」がきかないのがスマホの怖いところ。スマホを持ったら最後、ここで文句を言ったことを、自分もほとんどしてしまうと思う。ああ、もう、こんな邪悪な機械と仕組み、誰が作った!
※女性セブン2017年3月30日・4月6日号