ライフ

ジビエ肉は味の個体差が大 「イノシシは山ごとに違う」説も

イノシシ肉は山によって味が違うとも

 ジビエ料理が都内でブームになっている。その裏には野生の鳥獣を巡り、地道な活動が続けられている。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏がレポートする。

 * * *
 昨年から今年にかけて、東京都内に続々とジビエ専門の飲食店が開業した。渋谷には北海道の食肉料理人集団による会員制の一軒家レストランがオープンし、目白にある、猟師が主をつとめる一軒家貸し切り業態のジビエ専門店の評も高い。その他にも、都心を中心にジビエ料理を供する店が、好事家を中心に評判を呼んでいる。

 組織や仕組みづくりも進んでいる。野生鳥獣の食肉の利活用に取り組んできたNPO法人「日本ジビエ振興協議会」はこの3月、「一般社団法人日本ジビエ振興協会」として新たなスタートを切った。自治体レベルでも産業化への動きは進んでいて、長野県は県内で獲れたジビエのブランド化へ向け、流通を後押しするネットワークづくりを進めている。

 高齢化が進んでいた猟友会にも若手や女性が参入し、各地で里山保全やコミュニティづくりの動きも活発になっている。官民問わず、さまざまな階層でジビエにまつわる動きは存在感を増していると言っていい。だが根本的な部分で、解決すべき課題はまだ多い。

 例えば、「駆除」と「食肉産業」との関係だ。実は全国の野生鳥獣による農作物被害金額の推移は2010年の239億円をピークとして、全体としては毎年数%ずつ減少傾向にある。2015年は176億円と、5年でピーク時の約4分の3まで減らすことができているのだ。シカやイノシシについての被害についても、国や各自治体の取り組みが一定の成果を挙げていると言える。

 だが「食肉産業」として見ると難しい点も少なくない。一般的に猟期は冬場に設定されるが、厳冬期にはイノシシのオスは発情期を迎え、味が落ちると言われる。シカなども春の若芽を好んで食べるので旬は夏とされている。猟の盛りとなるはずの冬場に、万人が喜ぶような食肉ばかりが獲れるとも限らない。

関連記事

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト