国際情報

中国の性都と呼ばれた東莞 ベンチャーの起業拠点へ変貌中

綱紀粛正で街が変貌

 都市は時代によってその姿をダイナミックに変えるものだ。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 大きな声で自慢はできないが、一時、世界一の「性都」として世界にその名を轟かせたのが中国広東省の東莞である。もともと製造業で栄え世界からありとあらゆる工場が集積し、大量の出稼ぎ労働者が集まって発展した都市でもあった。工場を出すのは外国企業が主で、香港、台湾、日本、韓国だけでなくアメリカ、ドイツ、フランスなどから有名企業が名を連ねた。そして、現地に派遣された社員や出張族、または工場を視察に訪れた投資家などをもてなしたのが、夜の顔である東莞の性産業であった。

 その「性都」として世界的知名度を誇った性風俗産業が警官約6000人を動員して行われた大規模摘発によって壊滅に追いやられたのは、いまから3年前の2014年2月のことだ。

 当時、逮捕された性風俗産業関係者は1000人以上にも上り、捕り逃した関係者を指名手配にするほど執拗さは、習近平の本気度を示すものだと現地メディアでも大きな話題となった。

 あれから3年──。東莞は、どうなっているのか。

 先述したように東莞はもともと製造業で栄えた街である。その製造業も、中国の人件費が高騰したことで寿命を迎え、2012年までの5年間で、7万2000社が倒産してしまうほど斜陽は明らか。とてもかつての夢の復活など望める状況ではない。

 では、どうしているのか。北京のメディア関係者が語る。

「あれだけ派手なネオンに彩られていたカラオケバー、マッサージパーラー、クラブや高級ホテルの建物はそのままです。中身だけを変えて、老人ホームや温室栽培の農業、それからネットカフェとなっていますが、現在、最も熱い視点が注がれているのが先端企業のインキュベーター(起業支援施設)としての活用です。まだ資金力のないベンチャーが香港や深圳から大量に移ってきて、かつてサウナやカラオケであった部屋で活動しているというのです」

 驚くべき変身といわざるを得ないが、「風俗産業がなくなれば何もなくなる」といわれていた東莞も、やればできるということか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン