さらに映像を見る限りだが、挙げた手を下ろさなかった時が何度かある。挙げた手で頭をかいたのは「なぜ今になって100万円について公にしたのか」と山本委員長に最初に聞かれた時。挙げた手でそのまま鼻をかいたのは、民進党の枝野幸男議員に辞めた顧問弁護士について聞かれた時だ。味方と思っていた相手への失望、困惑や怒りなど心情が露わになる質問にどう答えようか戸惑ったのだろうか。それとも、そこに記憶以上の真実が隠されているのだろうか。
籠池氏の癖も見つけた。過去の出来事を思い出そうとしたり、記憶を探ろうとする時、籠池氏の目は右上を向く。ところが質問に答えながら、何度か目線が左上向いたことがあったのだ。
公明党の竹谷とし子議員が、寄付に対して礼状も出されず、封筒も残されていないことに「100万円はなかったのではないかと思える」と発言した際は、口をつぐんだまま口先をふくらませたが、わずかに頬を緩めて目線を左上に向けた。
勝手に中学校の推薦枠があると案内書に載せた件を問われた時も、先方の同意も得ず、「面談時のリップサービスを鵜呑みにした」と、左上を見てから答えた。そして6年後のことだから、詐欺にはならないと主張した。
衆議院の証人喚問でも、国有地の売買価格を非公表にした件を問われると、左上に目線を向けて、近畿財務局の担当者からの電話に、「国有地の売買は初めてだから、どちらでもいいが、それなら非公表のほうが…」と述べたと答えた。そこにどんな意図があったかは推測に難くない。
100万円の寄付を、いつ昭恵氏に黙っておいてほしいと言われたかという質問には、「車で帰った後」と左上を見て、「5~6分してから電話で」と答えた。同じ仕草が表れた時の発言から推測すると、自身の思惑や感情が絡んだ記憶、そこに数字が絡んだ記憶の場合、籠池氏の目線は左上を向きやすいのだと思う。単なる記憶ではなく、何らかの思いと結びつく証言の際に、籠池氏の目は無意識のうちに左上を向くのだろう。
果たして、偽証罪に問われることを覚悟しながらも籠池氏が語ったことは真実なのか否か? 昭恵氏と籠池氏、どちらがどんな嘘をついているのか?
どちらもどこかで嘘をついているような気がするのは、私だけだろうか。